日本中で「空き家」が問題となっています。
総務省統計局の「令和5年住宅・土地統計調査」では、空き家数は900万1600戸と過去最多を記録。空き家率も13.8%と過去最高で、日本ではおおよそ7軒に1軒が空き家になっている計算になります。
「空き家」と聞けば、戸建てをイメージしがちですが、マンションの空き住戸も大量に発生しています。さまざまな不動産事業プロデュースに携わっているオラガ総研代表取締役の牧野知弘氏に、見過ごされがちな「マンション空き住戸」の意外な現状を解説してもらいます。(全2回の2回目)
●第1回:2042年末には、築40年以上のマンションは445万戸に…待ち受ける深刻な「空き住戸化」とは
※本稿は、牧野知弘著『新・空き家問題――2030年に向けての大変化』(祥伝社新書)の一部を抜粋・再編集したものです。
管理不全マンションの実態
空き住戸は放置しておいてもマンションは勝手に管理してもらえるので安心などと思ってはいけません。空き住戸が増えるマンションには特徴があるのです。
まず築年数が古く、建物や設備の修繕が適切に施されていないマンションに空き住戸が多い傾向があります。これは鶏と卵(鶏が先か卵が先か)のような関係で、古くて管理の悪いマンションほど人が逃げていきます。空き住戸が多く住民が少ないマンションほど、誰も建物管理や修繕にも興味を示さないので、「建っていればいいじゃん」的な感覚になりがちなのです。
管理状態の悪いマンションは、人気がありません。つまり売ろうにも、貸そうにも管理の悪さが思い切り足を引っ張ります。こうした状況に陥ってしまったマンションは資産価値を取り戻すことができません。建物や設備は年数が経過するにしたがってさらに老朽化が進みます。そんなマンションにあらためて住もうとする人は少なく、空き住戸の放置状態が続くことになります。