三菱UFJ銀行の投信売れ筋ランキングの2025年4月は、前月と同様に「eMAXIS 日経225インデックス」がトップになり、第2位には「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が第3位から浮上し、第3位には前月第5位から「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」が浮上するなど、トップ5を代表的なインデックスファンドが占めた。前月第2位だった「MUFG ウェルス・インサイト・ファンド(標準型)」は第6位にまで後退した。また、トップ10圏外から「三菱UFJ 純金ファンド(愛称:ファインゴールド)」が第9位にランクインした。
◆インデックスファンドを再評価
三菱UFJ銀行の売れ筋ランキングでトップを「eMAXIS 日経225インデックス」が維持し、第3位に「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」、第4位に「三菱UFJインデックス225オープン」が入った。トップ10上位に国内株式の代表的なインデックスである「日経平均株価(日経225)」に連動するインデックスファンドが3本もランクインした。これは、オンライン取引のみならず、店頭でのコンサルティングを通じた顧客注文でも「日経225」に連動するインデックスファンドに対する購入注文が多かったということだろう。
「日経225」は2025年の年初から下落基調にあり、月次騰落率は1月がマイナス0.81%、2月がマイナス6.11%、3月がマイナス4.14%で3月末までに2024年12月末比でマイナス10.72%と2ケタのマイナスになっていた。米国「S&P500」が2月までは史上最高値をつけて2月下旬以降に下落したことと比較すると国内株式は1カ月早い調整安になっていた。それが4月に入ると米国の「相互関税」の発表によって一段安となり、4月7日には2024年12月末比でマイナス21.95%の水準にまで下げた。これは2024年7月の史上最高値との比較ではマイナス26.26%という水準だ。
ダメ押しといえるような急落を機会に、中長期目線で改めてエントリーしようという動きが出てきたものと考えられる。2024年1月の新NISAのスタートから、株式市場が右肩上がりで上昇していただけに、投資をスタートする機会を逸したと感じていた人も株価が大きく下げたことによって、ようやくスタート台に立てたというケースもあっただろう。
このような中長期目線での「株式投資のリスタート、または、スタート」という動きは、新NISAで火が付いたインデックスファンドによる積み立て投資の代表銘柄である「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」や「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が売れ筋の順位を上げて上位に食い込んできたところにも感じられる。米国「S&P500」の下落率は4月8日時点で2月に付けた史上最高値からマイナス18.90%に達した。高値を更新し続ける「S&P500」を見ているしかできなかった人たちも20%近くも下落したことで、ようやく買い出動できたのではないだろうか。4月8日に「S&P500」が5000ポイントを割った水準は2024年2月時点の株価水準と同等だった。
このように株価が大きく下げたタイミングで、代表的な株式インデックスファンドに買い注文が集まってくるのは、投信購入者が、中長期で資産形成をしたいと考えているということの現れなのだろう。依然として株式市場が不安定なことに変わりがないが、下落局面で始めた投資も、継続的な積み立て投資につながらなければ投資成果に結びつくことが難しいかもしれない。4月の売れ筋ランキングには「インデックスファンドを長期に積み立て投資する」という資産形成の第一歩が改めて始まったことが浮き彫りになった結果と考えたい。