日本株の約6~7割を動かすとも言われる外国人投資家。積極的な言動によって、存在感は日に日に増しています。

彼らはどんな視点で企業を選び、投資をするのでしょうか。その思考がわからなければ、個人投資家も翻弄されてしまうかもしれません。

長年にわたり外国人投資家の動向を分析してきたみずほ証券エクイティ調査部チーフ株式ストラテジストの菊地正俊氏の新著『外国人投資家の思考法と儲け方』から、注目を集まる「アクティビスト」に焦点を当てて紹介します。(全3回の1回目)

※本稿は、菊地正俊著『外国人投資家の思考法と儲け方』(日本実業出版社)の一部を抜粋・再編集したものです。

アクティビストによって投資スタイルが異なる

アクティビストは複数の投資手法、投資スタイルを取りますし、時代とともにそれらは変動します。企業に対する対応がアグレッシブか、ソフトかによっても分けられますが、それも時代とともに変動します。それらはあくまで印象ですから、私が抱いている印象は市場関係者や投資された企業が抱いている印象と異なるかもしれません。

村上ファンド系、ストラテジックキャピタル、英国上場のNAVF、香港のオアシスなどはアグレッシブなアクティビストである印象である一方、英国のシルチェスターやAVI、米国のバリューアクト、タイヨウファンドなどはソフトな印象です。

村上ファンド系やストラテジックキャピタル等は株主還元を求めるアプローチが多い一方、バリューアクトは事業ポートフォリオの変革の提案が多くなっています。オアシスは2018年に安藤ハザマに対して安全衛生管理の徹底など変わった株主提案を行ないましたが、最近は建設的な株主提案を行なうようになりました。

シルチェスターが大株主になっている関西のある企業は、シルチェスターはジェントルマンなアクティビストであり、もっとアグレッシブなアクティビストに投資されるよりマシなので、ずっと株主でいて欲しいと言っていました。エフィッシモキャピタルは2000年代にはアグレッシブな提案をしていましたが、近年はソフトになってきている印象です。