日本株の約6~7割を動かすとも言われる外国人投資家。積極的な言動によって、存在感は日に日に増しています。

彼らはどんな視点で企業を選び、投資をするのでしょうか。その思考がわからなければ、個人投資家も翻弄されてしまうかもしれません。

長年にわたり外国人投資家の動向を分析してきたみずほ証券エクイティ調査部チーフ株式ストラテジストの菊地正俊氏の新著『外国人投資家の思考法と儲け方』から、注目を集まる「アクティビスト」に焦点を当てて紹介します。(全3回の2回目)

●第1回:アクティビストにも“性格”がある? ハゲタカだけじゃない、「ずっと株主でいて欲しい」と言われる“ジェントルマン型”も登場

※本稿は、菊地正俊著『外国人投資家の思考法と儲け方』(日本実業出版社)の一部を抜粋・再編集したものです。

同じ企業に複数のアクティビストが関心を持つことも

経営に問題がある企業は、あるアクティビストを追い返しても、その問題が解消されないならば、時を経て、別のアクティビストの投資対象になることが少なくありません。以下はその事例です。

フジテックは2007年にダルトン・インベストメンツが15%取得し、株主提案を受けたことがありましたが、2022年の株主総会でオアシスの提案が一部成立しました。サッポロHDは2008年にスティール・パートナーズによるTOBから逃れましたが、2023年に3Dインベストメント・パートナーズから株主提案を受けました。

TBS HDは2018年にAVIから東京エレクトロンの売却提案を受けましたが、2005年に村上ファンド系から大量保有報告書を提出され、楽天グループに買収を提案されたことがありました。

帝国繊維は2018年にスパークス・アセット・マネジメント、2020年にAVIから株主提案を受けましたが、ともに否決しました。帝国繊維は2025年3月の総会ではNAVFから提案を受けました。