「離婚しても私は1人で生活していけるでしょうか」

夫婦問題を扱うFPである筆者の事務所には、このようなお問い合わせは少なくありません。今回ご紹介する、会社員の戸田郁美さん(仮名、50歳)も、夫と離婚しても経済的に問題なく老後も生活できるのか知りたいとのことでご相談に来られました。

嫌いではないが、今後の人生は一緒に歩めない

郁美さんに現在の夫婦状況をうかがったところ、夫のことが大嫌いというわけではないようです。ただ、高校生の息子の大学入学も決まり、教育費の目処もついたところで、今後の人生を考えた時、夫と一緒に過ごす人生は考えられないと言います。

郁美さんが離婚を考えるようになったのは、コロナがきっかけでした。夫は在宅ワークが増え、郁美さんが会社から帰宅すると、夫は必ず家にいます。しかし、洗濯物は干しっぱなし、もちろん、掃除機をかけてくれた形跡はありません。

通勤時間がない分、時間はあるはずなのですが、それを指摘しようものなら「家を掃除してから出勤してほしい」と、逆に掃除をお願いされる始末です。郁美さんは、掃除をしてから出勤したこともあったようですが、帰宅するなり「廊下がきれいになってなかった、俺が掃除しておいたから」の一言。郁美さんも「ありがとう」と言える心の余裕はなく、無視でかわします。

結婚して約20年――これまでも、郁美さんは今まで正社員として働きながら家事・育児をこなしてきましたが、夫から感謝されたことはなかったと言います。そんな日々の小さな不満が、コロナをきっかけにいよいよ確実な不満へと変わっていき、離婚を考えるまでに至ったようです。

とはいえ、離婚しても1人で生活していくことはできるのか、特に老後の生活が不安とのことで、筆者の元にご相談にいらっしゃったのです。