一方、毎月の副業収入で奨学金の返済はほぼカバーできました。副業先の担当者は私が物理を専攻していたことを知って専門的な記事をオファーしてくれるようになり、原稿料もちょっと上がりました。結果として毎月5万円以上の貯蓄ができるようになり、休日にはウェブデザイナーの友人とショッピングに出掛けたりする余裕も生まれました。
預金から投資へ。若いうちから長期の資産運用を
前回の上田さんとの面談で、預貯金にほとんど利息が付かないと冗談交じりに愚痴ったら、上田さんが話してくれたのが、若いうちから将来を見据えた資産運用が重要だということでした。
「今はコロナ禍やロシアのウクライナ侵攻で世界経済が混乱しているけれど、いずれは沈静化するし、長い目で見れば世界経済は成長していく。そうした中、日本では当面、日本銀行のマイナス金利政策が続く予定で、それを見越して日本の通貨(円)が売られている。木下さんの場合、平均寿命まで60年以上もあるわけだから、円貯金だけに頼るのではなく、『グローバル+長期』という観点から資産運用を考えていく必要があるよね」
上田さんの言葉を聞いて、なるほどと思いました。では具体的に何をすればいいかと尋ねたら、上田さんが1つの選択肢として挙げたのが、世界の株式市場や債券市場に投資する投資信託を購入することでした。
「こうしたバランス型の投資信託なら、その時々に好調な市場から成長の果実を得ることができる。短期的には今回のコロナ禍のような“世界同時不況”もあるかもしれないけれど、あくまで一時的なもの。木下さんのような若い人は投資する時間が長い分、運用成績も平準化していくはず」
さらに、iDeCo(個人型確定拠出年金)という国の制度を使えば、投資にかかる税金を節税しながら、くだんのバランス型ファンドを毎月少額ずつ購入していけるというではないですか。
面談の帰途、上田さんから教えてもらったiDeCoの検索&比較サイト「iDeCoナビ」をチェックし、手数料や取り扱う投資信託を調べて幾つかの金融機関に資料請求しました。そのうちの1つで口座を開設し、運用姿勢に好感の持てたバランス型投資信託に毎月1万円ずつ拠出していくことにしました。