リスクをとって、NASDAQ100の成長に投資…そして藤崎さんとの結末は

その後、再度の面談を経て、証券会社で投資していたお金をすべて現金化しました。本当は、その全部を投資につぎこみたい気分でしたが……「それだけはいけません!」と止められました。結局、当時の資産5000万円の半分、2500万円を投資に回すことにしました。

投資先はNASDAQ100という指数に連動するETF(上場投資信託)。NASDAQはアメリカの新興企業向け市場で、そこに上場する代表的な100銘柄に投資するのがNASDAQ100なのだそうです。アップル、マイクロソフト、グーグル、アマゾンといったプラットフォーム企業が入っていることに惹かれて決めました。実は、私が勤務する会社や、過去に籍を置いた企業も入っています。

手数料もこれまで買っていた投資信託は年に2%ほど取られていたのに、藤崎さんが紹介してくれたETFは1%を切り、格安です。これまでいかに自分がこうしたコストに無頓着だったかも痛感しました。さすがに2500万円を入金するときは手が震えましたが、藤崎さんの笑顔を思い出して勇気を出しました。

藤崎さんのオフィスでは、投資した後も半年ごとにフォローの面談をするという決まりなのだそうです。投資だけでなく、保険や税金、相続といったお金の悩みならなんでも相談できると言われました。

入金するまでは頻繁にメールなどでも打ち合わせしていたのに、次は半年後か……とさみしい気持ちになっていると、「半年と言わず、いつもの打ちっぱなしでお会いしたときになんでも相談してください」と言ってくれました。

「でも、藤崎さんはお仕事を終えて打ちっぱなしにいらっしゃるのに、そこでまた仕事の相談なんて、悪いわ」

すると彼は、さらりと言いました。

「荒川さんは特別ですよ」

その言葉を聞いて、私は急にドキドキしてきました。藤崎さんは顧客としての私に親切にしてくれているだけだと自分に言い聞かせてきたのに、期待してしまいそう。でも、たとえ玉砕したとしても失うものなんてない。お金の悩みもスッキリできたこの機会に、思い切って誘ってみようかな。

「だったら、今度練習の後にお食事でもしませんか? 今回とてもお世話になったので、お礼がしたいんです。ごちそうさせてください」

彼はちょっと驚いた表情で、慌てたように応えました。

「お礼なんてとんでもない。荒川さんにごちそうになるなんて、そんなことできませんよ。でも、そうだなあ……じゃあ割り勘だったらご一緒しますよ」

私はもう、うれしくて飛び上がりそうでした。

あれから10年が経ち、あのとき投資した2500万円は、なんと2億円近くになりました。NASDAQ100指数はなんと、10年で7倍近くもの上昇を見せたのです(取材時)。さすがに彼も、「ここまで上昇するなんて、予想してなかった」と、隣で笑っています。

そう、私たち、結婚したんです。彼は資産運用だけでなく、人生のパートナーになってくれました。

もう顔も思い出せないけれど、あれこれと買い換えを勧めてきた証券会社の営業マン、「絶対に金ヅルにされてるよ」と言ってくれた友人、あの日ゴルフの打ちっぱなしに行ったこと、そしてその場に彼がいたこと。すべてがつながっているんですね。誰に話しても、「そんなことってあるの!」と驚かれるのですが……今、とても充実しています。

●資産を大きく増やしてくれた「運命の人」 前編もチェック

​※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。