令和4年に、iDeCoにまつわるルール改正が続く! 企業型DCとiDeCoの併用もアリ

企業型DCの掛金上限は5万5000円ですが、マッチング拠出は事業主掛金の金額が上限です。そのため基さんは事業主掛金が1万円のためにマッチング拠出は1万円までしかできず、残り3万5000円分の枠が使えないでいます。さらにマッチング拠出を導入している場合、現状のルールではiDeCo併用は認められません。

しかし、制度改正により令和4年10月1日より、マッチング拠出を導入している企業型DC加入者は、マッチング拠出かiDeCoか選べるようになります。掛金上限は2万円かつ、事業主掛金と合わせて5万5000円を超えない範囲。つまり、基さんの場合、1万円のマッチング拠出から2万円のiDeCo併用に変更すると、掛金を1万円アップさせることができます。また、自分の運用したい商品の運営管理機関で口座を開くことができます。

マッチング拠出もiDeCo併用もいったん受け取った給与から掛金を拠出するため、税制上は同じです。

ただ、手数料関連には違いがあります。マッチング拠出は企業型DCの口座に上乗せするもののため費用負担はありませんが、iDeCo併用の場合、iDeCo口座開設手数料や毎月の口座管理手数料は“基さん持ち”です。

基さん・小百合さんご夫婦にとって、手数料のことを差し引いてもプラス1万円多く運用できることは魅力のはず。制度改正後、企業型DCとiDeCoの併用を検討してみる価値はあるでしょう。

ちなみに、令和4年は確定拠出年金で大きな改正が続きます。令和4年4月1日から、確定拠出年金の受け取り開始上限年齢が70歳から75歳に引き上げられます。つまり、60歳から75歳の間で受け取りができるということです。さらに、1ヶ月後の5月1日には加入可能年齢が引き上げられ、企業型DCの場合、65歳未満から70歳未満に引き上げられます。よって、企業型DCの加入者が60歳以上で退職した場合、運用指図者で運用し続けるか、受け取るかを選ぶことができます。もし、再就職した会社に企業型DCがある場合、前の会社の確定拠出年金を受け取ってしまったら企業型DCに再加入はできませんが、運用指図者でいれば再加入をすることができます。

多様化する働き方に対応するよう、制度も多様化しています。せっかくの制度を利用するためにも、まずは資産運用そのものを今一度見直しましょう。「分からないまま、選んだ5本」ではなく商品を選び直し、ポートフォリオの修正もしましょう。投資信託の見方から慣れていくことが必要です。頑張りましょう!