確定拠出年金(DC)難民は、「お金が増えないばかりか減る一方」なので、メリットなんてひとつもない!という事を以前の記事ではお伝えしました(脱・DC難民!自動移換からの脱出のキモは「拠出」にあり)。さらにDC難民は個人のデメリットに加え、社会にとっても大きな損失です。なぜならば、移換された資金はただただ金庫の中に眠っているだけで、市場で運用されることもなく、付加価値を産むこともないからです。
もちろん国としてもDC難民を救うべく取り組みを強化させています。これまでは、離職する際に会社の人事の方等が企業型DCの資産移換について説明をするというのがルールでした。しかし、これまでお伝えしてきた通り、それだけではDC難民が増える一方なので、DC難民が次に企業型DCあるいはiDeCoになんらかのきっかけで加入する際に、自動移換者を救う「川下でのDC難民キャッチ作戦」を立てたのです。
「記録機関」が加入者の状況をチェックしてくれる
具体的に仕事をするのは、「記録関連運営管理機関」です。記録関連運営管理機関とは、RK(レコードキーピング)と呼ばれている機関で、文字通りDC加入者の「記録」を管理するのが仕事です。普段は運営管理機関のバックで黒子のようなお仕事をしています。
日本には、RKが4社あります。NRK(日本レコードキーピングネットワーク)、JIS&T(日本インベスターズソリューションアンドテクノロジー)、SBIベネフィットシステムズ、損保ジャパンDC証券です。
RKは、加入者・運用指図者の個人情報や掛金、資産状況等を全て記録するという非常に重要な業務を担っています。さらにレポートの発行やコールセンター、給付の手続きなども行います。つまり、企業型も個人型もすべての加入者記録を把握しているのがこの4社というわけです。またJIS&T社は、特定運営管理機関といって、自動移換された方たちの記録を管理する役割も担っています。
加入者・運用指図者・自動移換者のすべての記録はRKにあるのだから、ここで突合作業を行えば自動移換者の資金を適正に戻せるのではないか。これが新しい取り組みです。しかし自動移換者にはこれまで定期的に通知を送るなどしていてもこの状況なのに、RKの登場でなにが変わるのでしょうか?