再就職やiDeCo加入のタイミングで難民をキャッチ

実はこの作戦「タイミング」がキモなのです。自動移換資産が本人に戻されるシチュエーションは以下の2ケースです。

1.自発的にiDeCoに加入するケース


自動移換者の中には「うっかり過去の企業型DCのことを忘れている」方も少なくありません。その方が「やっぱりiDeCoで資産形成しよう」というタイミングを狙います。例えば、Aさんが〇〇証券にiDeCo加入を申し出たとします。すると〇〇証券のRKがAさんの個人情報データをキャッチし、さらにRK4社が連携し、自動移換者でないかどうかを調査、確認がとれたところで資産をAさんに戻します。

2.企業型DCのある会社への再転職タイミングを待つケース


企業型DCを導入している会社はたくさんあります。自動移換された方が転職してあらためて企業型DC加入者になるのを待つのがこちらです。例えば、Bさんは転職により企業型DCの加入者になりました。するとそのDCのRKがBさんの個人情報データをキャッチし、さらにRK4社が連携し、自動移換者でないかどうかを調査、確認がとれたところで資産をBさんに戻します。

この際のポイントは、RKで本人確認がとれれば「本人の申し出がなくとも」それぞれのiDeCoまたは企業型DCに資産を移換してくれる点です。画期的ですね。

実際筆者はRKの担当者に、効果のほどを伺ったことがありますが、ちょっとした名前の記録違いや登録住所が変わっていたりなど、細かいところの作業も多いとおっしゃっていました。iDeCoや企業型DCの新規加入者データに対して100万人もの自動移換者のデータを毎回突合するのですから、大変なご苦労もあるのでしょう。

ただ気になるのは「本人の申し出がなくとも」資産が移換されるという点です。繰り返しになりますがiDeCoに加入をするという方は、ご自身の意思で口座開設をするので、適時自分の口座の残高チェックはするのではないかと思います。その際、過去のDC資金が移換されていたら、これは嬉しいサプライズです。

しかし企業型DCはどうでしょう? そもそもあまり会社の制度に関心がなかった方が自動移換者になってしまっていたと仮定すると、過去の資産が合算されたとしても、それさえも気づかないということもあり得るのではないでしょうか? 老婆心ながら、自動移換から復活した資金は、しっかり管理していただきたいと思います。

いずれにしても、移動移換されたお金も「大切な自分のお金」です。もしこの記事を読んで「私もDC難民かも?」と思った方は、救済措置を待つのではなく自分自身からアクションを起こしましょう。特定運営管理機関では自動移換者専用のコールセンターを用意しています。番号は03-5958-3736ですから、問い合わせしてみてください。