月額5000円からでも、まずはiDeCoを始めてみよう

講師
一番のおススメは、ご自身で確定申告をやってみることですね。そうすると、税額計算の流れを具体的にイメージできるようになります。
ただ、「忙しいし、そこまではちょっとできないな……」という人も多いでしょう。そんなときは、最低金額の月5000円の積立でiDeCoを始めてみてはどうでしょうか? 今回ご紹介した試算でも、所得控除が少なければ少ないほど、住宅ローン控除の使い残し額も少なくなっていますので。

参加者
そうですね、分かりました。
住宅ローンがあるからといってiDeCoを敬遠するのではなく、まずは少しずつiDeCoで老後資金の準備を始めたいと思います!

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iDeCoとふるさと納税の関係と同じように、iDeCoと住宅ローン控除の関係も微妙です。しかし、iDeCoの所得控除による税制メリットまで考えると、住宅ローン控除の「使い残し額」以上に手取りが増えることがあります。

もちろん、他にもたくさん所得控除がある人や、そもそも年収と比較して過大な住宅ローンを抱えている人は、iDeCoの税制メリットが十分に発揮されないケースもあるでしょう。でも、先ほどご説明の通り、「iDeCoと住宅ローン控除の併用は損」と最初から決めつけないほうがいいと思います。

私が住宅ローン控除の使い残しよりも「もったいない」と感じるのは、「iDeCoとの併用は損だ」と考えて、住宅ローン控除を受けている10年もの間、iDeCoの利用開始を先延ばしすることです。10年間の投資経験を積み立てられるか否かが、現役世代の皆さまにとっては大きな違いになると思うからです。この投資経験が100年続く人生に向き合うための金融リテラシー、ひいては、生き抜く力につながるのであれば、住宅ローン控除の多少の使い残しは気にする必要はないと思います。

最後は何が「損」なのか、「もったいない」のか、という禅問答のような話になりましたが、大切なのは、考えるよりも行動を起こすことではないでしょうか。今回のコラムが、皆さまの前向きな一歩を後押しするきっかけになれば幸いです。