企業型DCで実現する、地元の経営者・従業員双方への貢献

投信、保険のほか住宅ローンも取りそろえているが、特徴的なのは2015年に設立した企業型DC(確定拠出年金)プランだろう。企業への選択制DCの導入から事務支援、継続教育までを担う法人向けサービス「FPとつくる燕三条年金積立プラン」がそれだ。収益性は低く他金融機関での扱いも少ないが、社員の福利厚生充実も実現でき、集客チャネルにもな得るDC導入は「地域に根差す金融機関、まさにわれわれがやるべき仕事」(嘉瀬氏)だと考えたという。

エフピーエム 代表取締役社長 嘉瀬一洋氏

DC導入支援自体は独自のプランを立てずとも可能だが、保険会社の協力を得て、投信で言う専用商品のような格好で設立した。「手間は掛かりましたが、『この地で働く人々の力になる』という意思表示としても燕三条の名を冠したかったのです。実際、最近では新潟市内の企業からも引き合いが来ていて、何社かで導入が進んでいます」と嘉瀬氏は笑顔を見せる。

現在の導入企業は50社弱。工場勤務の若い社員も多いことから、加入者の層は20~40代が中心だ。選択制のため、目先の収入を優先する向きが多く加入率は高くないが、同僚の運用成績を見て「そんなに増えるなら自分も始めようか」と加入を検討する従業員も見られるという。

FPMの主な集客チャネルは、経営者層が過半を占める保険契約済の顧客(既顧客)とDC、そしてセミナーの主に3種だ。

DCはその職域的な性質の魅力もさることながら、ドル建ての養老保険をプラン内の福利厚生の一つとして提供することで保険収益の底上げにも成功しているという。ドル建て商品の説明の難しさも、投信を扱うIFAにとってはハードルにならない。「従業員の皆さまにとって、FPMは『ずっと頼れる資産形成のサポーター』。社員にもその役目を担える意義と価値を伝えて取り組んでいます。DC導入が経営者様にとっての『良いもの』ですが、従業員の皆さまにも常に『良いもの』を提案しなさい、ということです」。