・「男女の格差解消には151年もかかる」…日本が世界で後れを取る理由

年金加入者の資産形成に向けた教育支援とともに、確定拠出年金についての調査・セミナー等を実施する特定非営利活動法人「確定拠出年金教育協会」が、2009年7月に、10月1日を「確定拠出年金の日」として制定した。2001年10月1日に確定拠出年金法が施行されたことに由来する。

着実な進展のもと洋々たる成長の余地

2021年3月末に、日本の確定拠出年金(DC)への加入者が約941万人となり、確定給付年金(DB)の加入者である約933万人を上回った。確定拠出年金は、関係者の尽力で確実に成長している。

ただ、資産高で見ると、2020年12月末現在でDBの109.7兆円に対し、DCは14.9兆円と13.6%にすぎない。2001年10月に発足して20年余りということを勘案すれば当然ともいえるが、拠出面での不十分な税制優遇措置なども影響し、資産面での拡大スピードはいまひとつだ。

また、日本の年金資産の総額は、公的年金の254.9兆円なども含めて約414兆円と過去最高を更新しているが、先細り懸念のある公的年金の補完役を期待したいDCは、まだ全年金資産の3.6%にすぎず、過少といわざるを得ない。

DBからDCへのシフトは止めようのない世界的な動きであり、ウイリス・タワーズワトソン社による2021年の世界年金資産調査(Global Pension Assets-2021)によると、主要7カ国(オーストラリア、カナダ、日本、オランダ、スイス、イギリス、アメリカ)において、過去10年間のDB資産の進展率が4.3%であるのに対し、DC資産のそれは8.2%とほぼ倍のスピードで増加した。この結果、DC資産がトータルの年金資産に占める比率は7カ国平均で53%となった。

主要7カ国の公的年金を含む全年金資産に占めるDCの比率は、オーストラリア(86%)とアメリカ(64%)がリードする。一方、日本は公的年金の比重が大きいこともあり、オランダ(6%)と同様にDC面では発展途上国(5%)だ。ただ、両国とも昨今はDC拡大に向けた動きが加速しつつある。

日本では、個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者も、対象者の拡大などで増加している。2022年3月時点のiDeCo加入者は238万人強と、10年前から17倍にも増加した。しかし加入対象者全体で見ると、いまだ数パーセントにすぎない。

さらに、厚生労働省の統計によると、従業員99人以下の中小企業での年金実施率は、適格退職年金が廃止されたこともあり2018年現在で14%にすぎず、10年前の半分以下だ。

このままでは、高齢者比率がさらに高まる先に待っているのは、生活保護に依存する高齢者の増大など、社会持続性への不安の広がりであろう。経済活力も大きく損なわれる可能性があり、確定拠出年金の拡充は焦眉の急といわざるを得ない。