ETFとインデックスファンド、有利なのはどっち?

上記を踏まえても、橋爪さんがETFに投資されたことは、決して失敗ではありません。値動きが市場平均に連動するETFは分散投資に適したツールであり、保有にかかるコストは、わずかですが投資信託よりも安く済みます。リーマンショックでは、このように適切な投資をしている人でも資産が半分程度にまで減っており、橋爪さんの投資手法が間違っていたわけではないのです。

ただ、ETFは年に1~4回程度、配当が出ます。この配当が手元に入ってくるときには、約2割の税金が引かれてしまいます。利子が利子を生む「複利効果」を得るには、受け取った税引き後の配当金でETFを買い増す必要があるのですが、ETFは金額ではなく口数単位で購入する決まりなので配当全額を再投資するのは難しく、不足したり中途半端な額が余ったりします。

一方、投資信託なら、保有コストはETFより高くなるものの、配当を自動で再投資するものを選べば、税引き前の配当相当額を再投資できるので投資効率がアップします。何より、ほったらかしにできるので手間がかかりません。もちろん、指数に連動する投資信託であるインデックスファンドは、ETF同様、手軽に“世界中”を買う分散投資が可能です。

「コスト面、投資効率面を踏まえて、有利なほうで運用したい」とのことで、橋爪さんのケースでETF、投資信託それぞれの運用成果をシミュレーションしてみたところ、投資信託のほうが投資効率が高いことが分かりました。これに基づいて説明したところ、なるほどと納得され、投資信託を活用して改めて投資をしたいと希望されました。

ある程度資産運用に関する知識を持つ人の中には、ご自分の考えに固執しがちな方も少なくないのですが、こうしてデータに基づいて説明するとたいていの方が納得されます。私自身、疑問に感じたことはその都度解決したいタイプで、そのためには調べたり、シミュレーションするといった手間を惜しみません。こうしたところが、お客さまの”腹落ち感”につながっているのかなと感じています。