「なぜ投資すべきか?」必要性とリスクを正しく理解する3つのポイント
当社では相談にいらした方に、「投資」を正しく捉えていただくために、必ず3つのレクチャーをしています。第一は公的年金が株や債券に投資している理由、第二に投資とは何なのかということ、そして第三が金融機関の正しい使い方についてです。
まず1点目。「投資はギャンブルみたいなもの」というイメージを持つ人が多いようですが、現実には公的年金の積立金もほとんどが株や債券で運用されています。なぜ、大切に守るべき公的年金がリスク運用されているのか。資本主義経済が続く限り、長期で見れば経済は成長し続け、株価も上昇していくからです。
2点目については、株式会社は、自社はもちろん、取引先や顧客、そして株主に利益をもたらすことができなければ存続できません。会社がステークホルダーに利益をもたらすこと自体が資本主義経済の大原則であり、一時的には停滞することはあっても、長期的には必ず成長するものなのです。そして、この資本主義社会が続く限り物価は上昇していくので、現金の価値は実質的に目減りしていきます。デフレに慣れ切ってしまった日本人にはピンとこないかもしれませんが、インフレは突然やってくるものです。大切な資産を守るには、平時から資産の一定割合を株や債券で保有する必要があるのです。
ただ、そう言うと「じゃあ、何を買っても長期で保有すれば上がるの?」と聞かれます。答えは残念ながらNOです。数ある投資対象の中から1つ選んで投資すると、それが一時的な下落であっても、持ちこたえきれません。だったら、投資対象を選別せず、世界中の資産を丸ごと買えばどうでしょう? どれかが一時的な下落に見舞われても、他の資産が下落していなければ回復を待つことができ、時間が解決してくれるわけです。「分散投資」が広く勧められているのは、この“当たり外れがなくなる”効果を狙ってのことでしょう。
3点目は「金融機関の使い方」。多くの人が「最も安全なお金の置き場所は銀行預金」だと誤解していますが、銀行が破綻した場合、ペイオフの制度で守られる預金は1000万円までで、それ以上の金額を預けている場合はどうなるか分かりません。一方、証券会社は顧客から預かった財産と証券会社自身の財産を分けて保管することが義務付けられているので、預けている現金や資産は全額守られます。さらに、先述したインフレ対策という意味でも、預金のまま置いておくことが「安全」というわけではないのです。
銀行は生活防衛資金や使い途が決まっているお金を置く場所、証券会社は将来のために育てるお金を置く場所、それから保険は、保障機能を使うための預け先と考えるべきだと私はお伝えしています。