二世帯住宅で相続が発生した場合は適用できるケースとできないケースがある

実家でひとり暮らしをしていた親が認知症などで介護が必要になり、老人ホームに入居したというケースもあるでしょう。その結果、空き家となってしまった実家を相続する際も、条件を満たせば小規模宅地等の特例が使えます。

この場合は、故人が要介護や要支援の認定を受けていたこと、老人ホームが都道府県知事への届け出がなされた施設であること、実家が賃貸などに出されていないこと――などが条件になります。

気を付けたいのが、ご夫婦がどちらかの親との二世帯住宅に居住していて、その親が亡くなった場合です。区分所有登記をされた物件だと同居ではなく別居扱いとなり、小規模宅地等の特例が使えないことがあります。

小規模宅地等の特例は故人の自宅の土地だけでなく、故人が事業用に使っていた店舗や工場などの敷地や、アパートや駐車場などの賃貸事業を行っていた土地にも適用されます。なお、適用される土地の面積や減額の度合いは宅地の種類によって異なるので、注意が必要です。

相続が発生してからでは時間がない! 事前に適用可能かどうか検討しておこう

一般家庭でも使いやすい小規模宅地等の特例は、効果の高い“最強の相続税対策”の一つと言えそうです。特例が使える可能性が少しでもあるなら、専門家のアドバイスをもらうなどして適用への道を探りたいところです。

とはいえ、特例の適用を受けるには、原則として相続税の申告期限までに遺産分割を終え、期限内に申告することが必要です。親の相続が発生してからでは十分な時間が取れないため、事前に①自分や兄弟姉妹は特例適用の条件を満たしているか②特例活用の面からは誰が実家を相続するのが有利か――などを検討しておくことをお勧めします。