実家が地価の高いエリアにある人ほど、利用価値が大きい

2年ほど前、実家を相続した知人から「相続税は借金して払ったよ……」とぼやかれたことがあります。それほど高額の相続税が課税されるとなると、親は大地主?と思いきや、よくよく話を聞くと、必ずしもそういうわけではないのです。

要は、実家が都内の地価の高いエリアにあって土地の評価額が思いのほか膨らんでしまった一方で、金融資産は雀の涙。生命保険もかけられていなかった、ということでした。

相続人となる子どもにとっては、残念過ぎる状況です。

アベノミクス以降の7年間で、都内を中心に人気の商業地や住宅地の地価はかなり高い水準まで上昇しています。結果として、都内に実家を持つ人には、知人のようなケースも少なからず起こっているようです。

そこで今回、ご紹介したいのが「小規模宅地等の特例」です。一定の条件を満たせば実家の土地の相続税評価額を大きく減らせるお得な制度で、地価の高いエリアに実家がある人ほど利用価値が大きくなります。

小規模宅地等の特例とは、かいつまんで言うと「故人が、自宅用に使っていた土地330平方メートル(100坪)までは、配偶者や故人と同居していた親族などが相続した場合、相続財産を計算する際に本来の土地の評価額を80%カットできる」制度。

仮に土地の評価額が5000万円だとしたら、それを1000万円まで圧縮することができるわけです。当然、評価額を元に計算される相続税も大きく減ります。人によっては、この“特例効果”で本来はかかったはずの相続税が非課税になることもあるかもしれません。

いずれにせよ、この特例が適用できるかどうかによって相続税の負担が大きく変わってくるのです。