各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、みずほ銀行のデータをもとに解説。
みずほ銀行の投信売れ筋ランキングの2025年9月のトップは「Oneグローバル債券ファンド2025-10(限定追加型)(為替ヘッジあり)」だった。「Oneグローバル債券ファンド2025-10(限定追加型)(為替ヘッジなし)」も第4位に食い込んでおり、限定追加型の債券ファンドが人気を集めた。2024年11月から10カ月連続でトップだった「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」は第2位に後退した。そして、前月第3位だった「キャピタル世界株式ファンド」は第3位にとどまり、第2位だった「グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)(愛称:未来の世界)」が第5位に後退した。また、前月は第4位だった「JPモルガン・グランド・アセット・アロケーション」は第8位にまで下がった。そして、トップ10圏外に落ちていた「キャピタル・インベストメント・カンパニー・オブ・アメリカ ICA年2回決算(分配重視)」が第10位に入った。
債券ファンドへの資金流入は株高への警戒感?
みずほ銀行の売れ筋トップに立った「Oneグローバル債券ファンド2025-10(限定追加型)(為替ヘッジあり)」は、日本や新興国を含む世界の債券市場からドル建て、ユーロ建て、英ポンド建ての債券に投資するファンドだ。約5年後の2030年10月までに償還される債券を購入し、満期まで保有債券を持ち切ることを基本とする。8月26日から新規募集が始まり、10月3日に設定された。10月10日まで追加募集があった(11日以降は追加で購入不可)。
9月8日に発表されたレポートによって、おおよその運用成績がわかる。8月26日時点で組んだモデルポートフォリオは、平均最終利回りが年率4.39%になった。「為替ヘッジあり」のコースでは為替ヘッジコスト(約1.91%)と信託報酬等の運用コストを控除すると、おおむね年1.76%の利回りになるとした。そして、「為替ヘッジなし」コースについては、為替ヘッジコストがかからないため、運用コスト控除後で年3.68%の利回りが期待できるとした。ただ、「為替ヘッジなし」の最終的な投資収益は為替相場の変動によって変化する。年3.68%は為替相場が設定日(10月3日)と償還時(2030年10月18日)が同水準であった場合の利回りだ。設定日よりも円安に動いた場合は収益の上ブレが期待できるが、16%程度以上の円高になった場合は為替差損でトータルリターンがマイナスになってしまう。10月3日時点(15時現在)のドル円は1ドル=147.78円、ユーロ円は1ユーロ=173.15円だった。
10月3日の設定時に「為替ヘッジあり」の純資産残高は約75億円だった。「為替ヘッジなし」は約23億円だった。この純資産残高が9月の販売実績に近い数値であったと考えられる。この結果だけをみると、「為替ヘッジあり」の方がより多く購入されたこと、また、「為替ヘッジなし」コースはわずか23億円程度の販売額であるにもかかわらず、売れ筋ランキングで第4位に入ったこと(株式ファンド全般に販売額が低調だった)などから、投資家の価格リスクに対する警戒感が強まっていたことがうかがえる。9月は中旬以降に国内株の「TOPIX(東証株価指数)」や「日経平均株価」、また、米国株の「NYダウ」や「S&P500」、「NASDAQ総合」などが史上最高値を更新していたが、4月安値から6カ月にわたって上昇が続いただけに高値警戒感が出てきたのだろう。