定年後の継続雇用、再雇用で正社員並みの報酬が得られる?
在職老齢年金については、こんな動きもフォローしておく必要があります。
2020年4月からは働き方改革関連法に基づき、大企業で「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保(同一労働同一賃金)」が導入されています。中小企業は1年遅れで、2021年4月からとなります。
この流れで注目されたのが、運送会社を定年後に再雇用された労働者が、職務内容や勤務場所は変わらないのに職能給や手当、賞与などが正社員と大きく違うのは不当だとして起こした裁判の行方です。
判決は二転三転します。地方裁判所が「給与格差は不合理な差異であり、労働契約法20条に違反する」としたのに対し、高等裁判所の判決は労働者の請求を棄却するなど会社寄り。最高裁判所では、一部の手当のみ労働契約法20条違反が認められました。
重要なのは実際にこうした事例が出てきたことで、専門家の中には「今後は継続雇用や再雇用の労働者の待遇が正社員並みに改善されていくはず。会社から必要とされる人材ほど、そうした改善が早く進む」と見る向きが少なくありません。
2021年4月には改正高齢者雇用安定法が施行され、働きたいという意欲を持つ社員に対し、企業は70歳まで雇用する義務が生じます。結果として60代後半もバリバリ働く人が増えると見込まれ、となると、今度は別の角度から在職老齢年金の「47万円」が気になってきそうです。