8月13日公表の7月企業物価と輸入物価、8月27~29日ジャクソンホールに注目

さらに、日本銀行が8月13日に発表する7月国内企業物価指数および輸入物価指数にも注目する必要があります。

図表2で紹介した6月MPMの声明文にも、「企業間取引における価格転嫁がやや速いスピードで進んでおり」と、国内企業物価の上昇を警戒する文言が加えられていたわけですが、実際、7月10日に公表された6月の国内企業物価指数は前年比7.1%と、4カ月連続でプラス幅を拡大させました。

7月もさらにプラス幅が拡大する可能性があり、そうなれば消費者物価への影響がさらに大きくなると考えられます。昨日、日銀が公表した6月消費者物価の「除く生鮮食品・特殊要因」は前年比2.7%と高く(図表3)、国内企業物価の上振れによって再び3%台が見えてくる可能性もあります。

<図表3 国内企業物価と消費者物価(特殊要因除くベース)>

(注)2014年度は消費税調整済み

(出所)総務省、日本銀行、楽天証券経済研究所作成

 

仮に、7月の国内企業物価および輸入物価が強ければ、その後何らかの機会を捉えて、9月利上げに向けた情報発信を日銀は行ってくるでしょう。現時点で公表されている講演は、8月27日の氷見野良三副総裁の埼玉県での金融経済懇談会ですが、9月MPM(17~18日)の前に誰か(例えば、内田真一副総裁)の講演が入る可能性もあります。

今のところ筆者はまだ、例年9月下旬に行われる大阪経済4団体共催懇談会での植田総裁講演、9月短観、10月支店長会議を経て、10月MPM(29~30日)で利上げというメインシナリオを変えていませんが、日銀の情報発信が前傾化すれば話は変わってきます。

また、素通りできないのが8月27~29日に米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれるカンザスシティ連銀主催のジャクソンホール・シンポジウムです。

同シンポジウムでは、各国の中央銀行トップや経済学者らが集まり、金融政策について議論を交わすのが恒例ですが、先行きの金融政策運営に関する情報が出てくることがあるため、毎年極めて注目度の高い重要イベントとなっています。

ちなみに、「転換期の労働市場の政策的含意」(「Labor Markets in Transition - Demographics, Productivity and Macroeconomic Policy」)をテーマに開催された昨年のシンポジウムでは、パウエルFRB議長(当時)が「Monetary Policy and the Fed’s Framework Review」という講演を行い、「見通しとリスクバランスの変化は、我々の政策スタンスの調整を正当化する」と9月利下げを示唆しました。

また、植田総裁もそのシンポジウムのパネルに参加し、「人口減少下における日本の労働市場:ダイナミクスの変化とマクロ経済へのインプリケーション」という講演を行っています。

今年のジャクソンホール・シンポジウムは「金融イノベーション:決済と政策への示唆」(「Financial Innovation: Implications for Payments and Policy」)というテーマで行われます。まだアジェンダは公表されていませんが、どんな発言が飛び出すか、注目したいと思います。