今週は28~29日に米FRBの連邦公開市場委員会(FOMC)、30〜31日に日本銀行の金融政策決定会合(MPM)が開かれます。いずれも利上げ見送りとなる公算ですが、記者会見などで次回利上げへのヒントは出るでしょうか。ポイントを解説します。日銀は「展望レポート」の書きぶり、FRBは8月27~29日のジャクソンホール・シンポジウムに注目です。

※本稿は、7月22日に「トウシル」に掲載された人気エコノミスト愛宕伸康氏の記事「世界中で上昇する長期金利、中銀にのしかかる責任の重み」を抜粋・編集しています。

7月は日米とも利上げ見送りへ

日本銀行が7月30〜31日に開催する金融政策決定会合(MPM)では、前回6月に行った1.0%への利上げの経済や市場に与える影響を見極めるため、政策金利を据え置く公算です。

直前の28~29日に開催される米連邦準備制度理事会(FRB)の米連邦公開市場委員会(FOMC)でも政策金利の据え置きが決定される見込みであり、特に日銀のMPMに影響を及ぼすことはないとみています。

金利先物が織り込むFRBの利上げ確率も、7月は現状維持の確率が高くなっています(図表1)。

<図表1 金利先物が織り込むFRBの利上げ確率>

(注)7月27日(現地時間)時点

(出所)シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)、楽天証券経済研究所作成

注目されるのは、植田和男総裁がMPM後の記者会見で次回利上げに向けたヒントを出すかどうかですが、記者会見のトーンはその前に行われるウォーシュFRB議長の記者会見でタカ派色が打ち出されるかどうかに影響されそうです。

というのも、ウォーシュ議長は14日の米連邦議会下院金融サービス委員会での議会証言で、「インフレの持続的な高まりを容認しない」と物価安定へのこだわりを改めて強調しており、図表1で見た市場の利上げ見通しも、9月利上げの見方が強まっています。

政策運営に関する発言をしない姿勢を貫いているウォーシュ議長のことですから、記者会見で言質を与えるようなことはないかもしれませんが、もし市場が9月利上げの見方を強め、ドル円相場が円安に振れるようなことになれば、植田総裁の物言いもややタカ派に振れる可能性はあります。

注目される「展望レポート」の書きぶり

いずれにせよ、筆者のメインシナリオである10月利上げ、あるいは9月利上げを念頭に置くのであれば、日銀は次回利上げに向けたコミュニケーション上の布石を早めに打ってくる可能性があります。例えば、今回公表される7月の「展望レポート」(「経済・物価情勢の展望(2026年7月)」)です。

今回の「展望レポート」では、2026年度の実質国内総生産(GDP)見通しが0.5%から若干上方修正され、消費者物価(除く生鮮食品)が2.8%から若干下方修正されるとみています。ただ、それ以外の数字に大きな変更はないと予想しています。「2026年度後半から2027年度にかけて「物価安定の目標」と概ね整合的な水準になる」という見方も変わらないでしょう。

しかし、リスクの書きぶりには注意する必要があります。利上げを行った6月MPMの声明文に、「企業間取引における価格転嫁がやや速いスピードで進んでおり」「消費者物価の基調的な上昇率が2%の「物価安定の目標」を超えて上振れていくリスクがある」との記述がありましたが(図表2)、その状況は現在も変わっていません。

<図表2 6月金融政策決定会合の声明文における物価に関する記述>

(出所)日本銀行、楽天証券経済研究所作成

 

6月声明文に記した文言を今回の「展望レポート」にどう落とし込むのか。仮に、「消費者物価の基調的な上昇率が2%の「物価安定の目標」を超えて上振れていくリスク」を引き続き強く意識しているような書きぶりになるのであれば、10月利上げよりむしろ9月利上げを意識すべきかもしれません。

なお、金利スワップ市場が織り込む利上げ確率を見ておくと(7月27日現在)、7月会合は2%、9月会合は3割程度、10月会合までに利上げする確率は8割を超えています。今回の「展望レポート」の書きぶり次第では、9月の確率がもっと上がる可能性もあります。