<前編のあらすじ>
60歳の太田雄介さん(仮名)は、長年勤めた印刷会社を退職し、フリーランスのデザイナーとして独立しました。
継続雇用では給与が大幅に下がる見込みだったため、「この給料で働くより自分でやる」と決断。
さらに太田さんはYouTubeなどで「法人化すれば税金も社会保険料も激減する」と知り、在職中から準備して独立と同時にマイクロ法人を設立します。しかし、その“節税策”が思わぬ落とし穴につながっていきます。
●前編:「法人をつくれば税金はほとんど不要」ネット動画を真に受けて、継続雇用の道を断った60歳男性の末路
「1年分すべてさかのぼって修正が必要です」
マイクロ法人を作り、「自分はうまくやっている」と思っていた太田さんでしたが、独立から1年後、法人の決算期を迎えたとき、現実が一気に牙をむきます。
クラウド会計ソフトを使って入力はしていたものの、いざ申告書を作ろうとすると意味が分からない。国税庁のウェブサイトから申告書様式をダウンロードしたものの、どこに何を書くのかさっぱりでした。
仕方なく税理士に相談したところ、返ってきたのは予想外の言葉でした。
「この内容では、申告ができません」
クラウド会計に入力されていた帳簿は、現金や預金残高がマイナスになっていたり、実際の金額と違ったり、二重で計上されている経費も多数……。
申告以前の問題だったのです。
「1年分すべてさかのぼって修正が必要です」
そう告げられ、提示された費用は、申告報酬で10万円、記帳費用で24万円と、合計34万円が必要となりました。
さらに問題は続きます。