冷静な助言がV字回復につながった

当時、私の投資資産は8ケタに達していました。その資産がほぼ半減し、証券会社の担当者から「すぐに売ってください。もっといい商品がありますから」という電話がかかってくると、「精神衛生上もよろしくないから、もう全部売ってしまおう」と何度腰を上げかけたかしれません。その度にストップをかけてくれたのが馬場さんでした。

「高橋さん、株式市場は生き物ですから、何十年に1度はこういうこともあるんです。でも、いずれは上がってきますから、売らずに持っておいてください」

完全に頭に血が上っている私に対して、馬場さんは常に冷静沈着でした。その一貫した姿勢と、馬場さんにとって何の得にもならない「ホールド(現状維持)」を勧めてきたことから、「この人の言うことは信用できる」と思えたのです。

実際、低迷相場に耐えて株も投資信託も1つも売らずに持ち続けたことで時価はV字回復し、むしろ大きく上昇したのですから、馬場さんの言う通りでした。

後から冷静になって考えれば、証券会社が回転売買を勧めてきたのは手数料稼ぎだったのでしょう。甘言に乗せられなくて本当に良かったと思います。

つみたてNISAから相続サポートまで、歴代担当者の的確な支援

馬場さんの後の担当者も、年代、性別、キャラクターは違うものの、共通して言えるのは、皆さんがフェアで、私の生き方や価値観に寄り添ってくれたことです。

資産運用では切った張ったが苦手な私の性格を尊重し、基本は「バイ&ホールド」で、「売った方がいいかもしれませんね」と提案してくるのは、例えば、保有する投資信託の純資産が大きく減ってきた時などに限定されます。

私が管理職になって忙しくなった2014年のアベノミクスの頃の担当者には当時のつみたてNISA(少額投資非課税制度)を使った“ほったらかし投資”を勧められ、これが今や、ひと財産になっています。

6年前に父が亡くなった時の担当者は、父名義だった預金や国債の名義変更をサポートしてくれただけでなく、遺産分割協議書の作成や相続登記に詳しい司法書士を紹介してくれました。自宅不動産を含めても相続税がかかるほど遺産はありませんでしたが、父の突然の死で母とあたふたしていたので本当に助かりました。

そして、今の担当者からは、株高かつ金利上昇局面でもあり、リスク資産のゆるやかな安全資産への移行を提案されています。