夫婦円満を実感した同窓会
同窓会には懐かしい顔がたくさんいて、全員と久しぶりの再会を喜んだ。近況報告から始まり、お酒がまわってくると互いの旦那への愚痴になった。
「ほんとにどうしようもないよ……! 金遣いが荒くてさ」
友人の莉子はため息をつきながら話をする。
「金遣いって何なの?」
「ギャンブルよ。ボートとか競馬とかそんなのにお金を使ってるの。私がやめてってお願いしても全然聞いてくれなくてさ」
莉子の愚痴に律子は顔をしかめる。
「うわ、そういう感じなんだ……」
「ほんとにさ、これ以上なんかあったら本気で離婚しようかなって思ってるのよ」
怒りをため込んでいる莉子をなだめながら、律子は自分たちの家庭は平和だなと思った。
もちろん琢也に対して不満がないわけではない。頑固なところがあって非を認めないとかそういう点は確かにあったし、それで喧嘩もしたことがあった。
ただ離婚を考えるほどの仲違いなんてしたことがなかったし、実際に結婚して15年経つが離婚を考えたことが一度もなかった。平和な我が家に感謝の気持ちを持ちつつ、律子は莉子や他の友人たちの愚痴を聞いて同窓会を過ごした。
◇
律子は同窓会から帰ってくるとすぐに、ネックレス探しを再開したが見つかることはなかった。
夫の琢也にネックレスを見かけなかったと聞いたが、知らないと一蹴されてしまった。ケースごと外でなくす可能性はないため家には必ずあると律子は考えていた。
それからも諦めることができず、時間があれば家の中のどこかにないか探し続けていた。
