ATMで確認した残高

翌日、遥香は早めに家を出て職場に向かう前にコンビニのATMに向かった。合宿免許でまとまったお金が必要になるので現在の預金額を確認しておこうと思ったのだ。

遥香はATMにキャッシュカードを入れて預金額を確認する。暗証番号を打ち終えると、明細が出てくる。後ろに並んでる人がいたので、明細を見られないようそそくさとコンビニを後にする。そして職場へと向かいながら明細を確認する。

だが遙香はその場で思わず立ち止まった。

預金は、100万もなかった。

操作を間違えたのかなと思い、遙香はコンビニへと戻る。そしてもう一度操作をやり直した。間違いがないように操作を一つ一つ確認しながら行った。ATMの機械は遙香の思った通りに明細を吐き出してくる。しかしやはり預金額は変わりがなかった。

管理は和弘が担っていた。もう20年以上、毎月それなりの額が貯金に回されていたはずだ。500万か、1000万かは分からない。だが少なくとも、遥香のパート代1年分よりもずっと少ない金額であるはずがない。

遥香には、何が起こっているのか全く理解ができなかった。

だから遥香にできるのは、和弘に状況を確認することだけだった。ひょっとすると、共有されている口座とは別の口座にお金を移しているのかもしれない。しかし遥香の淡い期待はすぐに裏切られた。

「……す、すまん。実は投資に失敗しちゃって」

「え、投資⁉ 何それ……」