食事制限に続きランニングも

食事制限からスタートしたダイエットだったが、それだけではダメだと思った美和子はデパートに行ってランニング用のウェアを勝手に買った。

「何これ? 運動服?」

「そうよ。軽くて動きやすい服を買ったからこれからは夜、2人でランニングを始めましょう」

美和子の提案に吉弘は目を丸くする。

「はぁ⁉ ちょっと待てって! こんなクソ暑い中、走らないといけないのか⁉」

「だから夜にしてるでしょ。夜ならまだ過ごしやすいし、実際にランニングしてる人もちらほらいるのよ」

「いやしんどいって……」

吉弘は心の底から嫌そうな顔をしている。

「じゃあどうするの? やめるの? ダイエットなんて誰でもできるって言ってたあれは思い違いだったって認める?」

「……いや別に走るだけがダイエットじゃないし」

「それじゃいつまで経っても痩せないわよ。美味しいご飯はもう二度と食べられなくなるけどそれでもいいの?」

美和子は吉弘が食事に対してかなりのストレスを感じているのを知っていた。

案の定、ため息を吐きながらも吉弘は目の前のTシャツを手に持った。

「……わかったよ。少しずつならやるからさ」

そこから吉弘はブツブツと文句を言いながらもダイエットを続けた。どこかで音を上げるか、見てないところで暴食でもするのだろうと思っていたが吉弘は本当に真面目にダイエットをしているようだった。

そんな吉弘に美和子は少し驚く。さらに日が経つほどに吉弘はダイエットにのめり込むようになる。

●努力の末にダイエットに成功した美和子。「誰にもできる」と言い放つ夫・吉弘に怒りを爆発させた美和子は吉弘を強制ダイエット生活にひきずりこむ…… 後編【“体重8キロ減”達成のためしぶしぶダイエットを始めた夫…驚くべき成果とその後に起きた「想定外の事態」】にて、詳細をお伝えします。

※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。