雇用統計を受けた市場の反応
今回の雇用統計を受けて、市場での利下げの織り込みがさらに進みました。具体的には9月の利下げの織り込み度合いが118%まで上昇しました。これは25bpの利下げを完全に織り込んだ上、50bp利下げの可能性も18%織り込んでいることを意味します。また、来年の年末までの利下げの回数も雇用統計前は6回未満でしたが、現在6回の利下げを完全に織り込んでいます(スライド 6)。
この結果、為替市場ではドル安が進みました。過去1年のドル指数を振り返りますと、7月までドル安が進んだものの、それ以降は関税交渉の進展と関税収入による財政悪化不安の緩和により、ドルが持ち直しました。一方、8月1日に発表された7月の雇用統計を受けて再び上値が重くなり、先ほどの8月雇用統計を受け、最近の安値圏までドル安が進んでいる状態です(スライド 7)。
著者情報
内田稔
うちだみのり
高千穂大学 教授/FDAlco 外国為替アナリスト
1993年慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、東京銀行(現、三菱UFJ銀行)入行。マーケット業務を歴任し、2007年より外国為替のリサーチを担当。2011年4月からチーフアナリストとしてハウスビューの策定を統括。J-Money誌(旧ユーロマネー誌日本語版)の東京外国為替市場調査では、2013年より9年連続アナリスト個人ランキング部門第1位。2022年4月より高千穂大学に転じ、国際金融論や専門ゼミを担当。また、株式会社FDAlcoの為替アナリストとして為替市場の調査や分析といった実務を継続する傍らロイターコラム「外国為替フォーラム」、テレビ東京「ニュースモーニングサテライト」、News Picks等でも情報発信中。そのほか公益財団法人国際通貨研究所客員研究員、証券アナリストジャーナル編集委員会委員も兼任。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカルアナリスト協会認定アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本金融学会会員、日本ファイナンス学会会員、経済学修士(京都産業大学)
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