手取りの少なさに驚愕…スナックのバイトを始める
父は工務店を経営しています。地元では大きな建設会社が幅を利かせていて、その下に我が家のような家族経営の工務店が幾つもぶら下がっている感じです。景気のいい時は良かったのでしょうが、人口減で公共工事も数えるほどしかなくなった今は下請けの仕事も激減、たまにあっても材料費の高騰で利益がほとんど出ないと聞きました。
両親は50を超えて今さら事業転換もできず、娘の私には安定した公務員になって近くにいてほしいと考えたのだと思います。
私には年子の弟がいますが、弟は都内の大学を卒業した後、そのまま東京で就職しています。私たちが幼い頃には父は弟に工務店を継いでほしいと言っていましたが、ここ10年でそんな話は全くしなくなりました。弟も弟で両親を前にして「地方の工務店なんてオワコン」と平然と言い放ち、こっちに戻ってくる気は全くなさそうです。
むかつくのは、弟が余裕で奨学金を返しNISA(少額投資非課税制度)でお金もがっつり貯めているくせに、家への仕送りは一切ないことです。そもそも、学部卒の弟は借りている奨学金の額も私よりずっと少ないのにです。
親の猛プッシュで役所に入り、地方公務員として働き始めた私が困惑したのが激ヤバな収入でした。最近は初任給30万円時代だというネットニュースを見ましたが、私の場合は手取りが20万円くらいでした。
家に10万円の生活費を入れ、奨学金を返してスマホやサブスクの料金を払ったら、手元に残るのはスズメの涙。ランチやコスメ代であっという間に消えてしまいます。
学部や院の時にやっていたスナックのバイトを復活させたのは、経済的な理由によるところが大きかったのです。
加えて、私はお酒を飲むのが好きですし、カラオケで歌うのも大好き。工務店育ちなので客あしらいもそれなりにうまい自信があり、スナックの仕事は自分に合っていると思っていました。ダブルワークでもウィークディの3日だけなので土日は休めますし、本業への影響もほとんどありませんでした。
しかし、いくら地方公務員の副業が解禁されたといっても、スナックのバイトが副業として認められるはずはありません。許可を得ずに勝手にやっている以上、明らかに違反でもあります。
バレたらまずいので、お盆休みにバイト先に役所の他部署の係長がやって来た時は本当に驚きました。すぐに帰るように促してくれたママのおかげで係長には気付かれずに済んだのですが、それ以降はバイト中も常に不安や罪悪感がありました。