7月に参議院選挙が行われました。結果として、自公政権は昨年の衆議院に続き、参議院でも過半数を割り込むことになりました。では、過半数を割り込むとどのような問題が生じるのでしょうか。今年前半の通常国会では、意外と政権運営が安定していました。そういった流れから見ても、多少は政権運営が不安定化はするものの、大きな懸念はないというのが、大方の予測です。では、この状況が金融市場に及ぼす影響について、考えてみましょう。
衆参両院で自公政権過半数割れ、今後の景気政策は金融市場にどう影響する?
7月の参議院選挙の結果は政権与党である自公政権には厳しいものでした。メディアでは「大敗」などと報じられ、これで衆議院に続いて参議院でも過半数を割り込みました。石破政権は東京都議会選挙も合わせると3連敗で、「石破おろし」が公然と起きています。
しかし、立法府の機能が停滞したわけではありません。これは今年前半の通常国会の実績を見れば分かります。今年前半には、積年の多くの課題が解決に向けて前進しました。例えば、年収の壁対策、海外違法オンラインカジノ対策、教育費高騰対策、サイバーテロ対策などです。高騰した米価についても、昨年10月の衆議院選挙の時点では対策は実施されませんでしたが、今回は有効な対策が実施されました。
この原因は良い意味で政治に緊張感が生まれたことだと思います。野党も主張する政策が実現するのと引き換えに、自公政権の政権運営には協力しました。高校の授業料無償化は維新、年収の壁対策は国民民主党の主張でした。
今後はこの傾向がより強まると見込まれます。自公政権が野党の主張を取り入れることで政策が実現するのです。
その試金石は秋ごろが想定される臨時国会です。各野党は選挙での主義主張を実現すべく水面下で自公政権と交渉し始めました。具体的には、ガソリン税の暫定措置の縮小や廃止、食品など一部の消費税率軽減措置の導入などです。自公政権が公約とした「原則として一人当たり2万円の給付金」も審議される見通しです。15%で決着した米国の相互関税への対応も実施されるでしょう。全て合わせると、結果的に出来上がる景気対策は大型なものになる可能性があります。
景気対策が大型化することは景気と株価にとっては追い風です。一方、金利には上昇圧力がかかります。市場では、日銀が年内に利上げに踏み切るとの観測が急激に高まっています。日本の金利の上昇は、日米金利差を通じて円高要因にもなると見られています。
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