物価が高いと、買い物する意欲がなかなかわいてきませんね。しかし、昨今の流通業界は二極化していて、購買意欲が刺激される店舗も増えているようです。そういった企業の現場では創意工夫が行われ、働き方改革が実現しているケースも多く、結果として売り上げや業績も好調となっているようです。そこで今回は、今時の流通業界について考えてみようと思います。

 

商店街→チェーンストア…そして令和は、AIとITを活用した“地域に寄り添った付加価値のある店”が主流に

流通革命という言葉は昭和世代には懐かしいと思います。それまでの小売業は、商店街で主に個人商店が魚屋や八百屋を営んでいました。しかし、1970年代ごろからチェーンストア化が始まりました。ダイエーやイトーヨーカドーのような大規模資本が大型ビルでチェーン店を展開し始めたのです。近代的なビル、明るく手に取りやすい陳列、大規模一括仕入れによる安値販売、会計が一カ所で済む利便性などが売り物でした。流通革命により昭和から平成にかけての小売業はがらりと風景を変えました。

商店街での買い物は、人と人との触れ合いの場でもあり、温かいものでした。個人商店の店主はお客さまの顔と名前や家族構成までを知っており、言葉を交わす楽しみもありました。しかし、流通革命によって個人商店の数は激減し、商店街そのものも衰退しました。

そして今、令和の流通革命とでも呼べる変革が起きています。昭和時代のチェーンストアの強みは、大規模な一括仕入れによる安値販売でした。言い換えれば、どこの店に行っても同じものが同じ値段で均一に売られているのです。売り場の店員さんは本部の指示に従って売るだけでした。

しかし、令和時代になってかつての強みが弱みへと変わり始めました。地域や家族構成やライフスタイルによって客の趣向は違います。チェーンストアの得意とする均一性では、社会の変化に対応できなくなり始めたのです。

この変化に適応して令和の流通革命では、地域ごとの実情に合わせて現場が人工知能(AI)とITを駆使して創意工夫をし始めたのです。本部主導から現場主導への転換です。働き方としても、受動的に本部の指示に従うのではなく、能動的に自らの現場目線で創意工夫を始めたのです。こうしてお客さまに高い体験価値をもたらすようになりました。

令和の流通革命で小売業界の序列には地殻変動が起きています。埼玉県にはその意味で優良企業が多くあります。日常の買い物でも、売場の変化をよく見れば、新鮮な発見があると思います。

 

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