最近の人工知能(AI)はごく短期間で明らかに進化しています。もはや何にでも使えると言っても過言ではなく、その賢さには驚くばかりです。そして、AIの進化は関連株価の上昇にも大きく関連しています。そこで今回は、AIの進化とその影響について考えてみましょう。

 

道具だった「IT」から、思考する「AI」に

ここ数年、世界的にAI関連の株価が大きく上昇しています。米国なら半導体製造のエヌビディア、日本ならソフトバンクなどです。エヌビディアは少し前に株式時価総額が史上初めて4兆ドルを超えました。日本の株式時価総額の約65%を1社が占めているのです。AI革命を実感するには、まずはAIを使ってみることが早道かもしれません。

総じてITは、人間が使う道具と位置付けられます。思考するのは人間でITはそのための手段です。手段ですからほとんどのITは従来からあるものの代替です。たとえば、電子メールは郵送の、ホームページは冊子やパンフレットの、エクセルは手書きと手計算の、パワーポイントは手書きプレゼンテーションの代替です。指示を出すのはあくまで脳のある人間です。しかし、AIは人間の代わりに思考します。言い換えればAIには脳のような機能があるのです。ここに本質的な違いがあります。

AIは身近な問題から時事問題まで、人間の脳のような思考の結果として何でも答えてくれます。たとえば、「お得に大阪旅行に行くためのプランやチケットはありますか?」「ベランダ栽培の野菜が元気ないんだけど、写真を送ったら診断してもらえますか?」「映画『国宝』はなぜヒットしているのか教えてください」ーーなどです。もちろん仕事にも使えます。「最近の株価上昇の背景と今後の見通しを教えてください」「日銀が年内に利上げするかどうかの見通しは?」ーーなどです。

昔のAIはパターン化されたものの再現しかできませんでした。しかし、今のAIは人間の脳のように思考するのです。さらに思考は、熟慮、推論へと進化しています。将来的にはAI同士が熟議するようになるとも見られています。思考するAIはロボットへの実装も進んでいます。

AIは現在進行形の技術ですので、AI革命の全容はまだ見えません。それが故に、場合によっては過度な期待感から、後から振り返ればバブルだったと判明するリスクはあります。AIが社会に実装されて期待に沿う高い利便性を本当にもたらすのかを絶えずチェックする必要があります。

 

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