最近、ビットコインの価格上昇のニュースをよく見るようになりました。トランプ政権は米国を暗号資産の首都にしようと、強力に推進しています。暗号資産とは、インターネット上に存在する資産のことで、かつては仮想通貨と呼ばれていました。「名前は聞いたことがあるけれど、なんとなく怖いイメージがある」と思う人も多いかもしれませんね。暗号資産を扱う取引所が破綻したり、資産が流出したりしないために、米国では法整備が加速しています。今後日本でも広まる可能性があるのか、暗号資産の未来について解説しましょう。

 

米国での暗号資産市場拡大は、日本の金融政策にどのような影響をおよぼすのか

トランプ政権は発足の段階から暗号資産の世界の大物を閣僚級で迎え入れ、自国を暗号資産の首都にするべく振興方針を示していました。そして、7月に法制度を一気に整備しました。

暗号資産は大きく分けて2種類に大別できます。一つは暗号資産を発行するに当たり、米国債など価値の安定する資産でフルにカバーされる「ステーブルコイン」です。ステーブルとは「安定する」という意味で、ステーブルコインには価値の裏付けがあるのです。もっと言うと、国債のような価値の安定する資産を持ち、その見合いで負債を発行するビジネスモデルは、実は各国の中央銀行と同じです。単純化すると、例えば日本銀行は日本国債を保有する見合いで日本銀行券(法定紙幣)を発行します。ステーブルコインは法定通貨並みの信用力を持ち、国際金融システムの変革につながる可能性があります。

もう一つは「非ステーブルコイン」です。代表例はビットコインです。非ステーブルコインには価値の裏付けがありません。こう言うと、何の価値の裏付けのない非ステーブルコインへの投資は、ギャンブルのようなものだと聞こえるかもしれません。しかし、米国では立派な金融資産と位置付けられています。例えば、ビットコインが主体の暗号資産の投資信託残高は1千億ドル(約15兆円)、保有者の3分の1は機関投資家です。税制も株式など他の金融資産とほぼ同じです。

米国が暗号資産を政策的に推進し始めたことから、日本の金融庁も推進する方向に政策のかじを切りつつあります。具体的には暗号資産を金融商品取引法(金商法)上の金融商品として位置付ける案が検討されています。もし実現すれば、現行は原則として雑所得ですので、投資家にとっては所得税上の扱いがかなり有利になります。例えば、損益通算約20%の分離課税などです。

まだ検討が始まったばかりですが、日本でも暗合資産が普及する素地が整備されつつあります。

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