2025年の日本経済は、実質1%程度とやや高い成長を実現しました。「良かった」と言えますが、物価高が収まらなかったので実感はあまりないかもしれません。2025年は、庶民の生活実感と株価が乖離(かいり)していた1年でした。来年こそは、両者が一致して共に良くなってほしいものです。
数字上は成長したが、その実感が乏しかった2025年。2026年の鍵を握るのは「実質賃金のプラス転換」
まだ2025年は終わっていませんが、経済金融情勢を概観しておきましょう。日本経済は1.0%前後の成長を実現した模様です。消費者物価は3%弱の上昇と高止まりしました。日経平均株価は、昨年末が約4万円、足元が約5万円ですので、約1万円上昇しました。政策金利は2回の利上げで0.75%へ、長期金利は約1%上がって約2.0%となりました。トランプ関税の悪影響が懸念されたものの、総じて良かったと評価できます。
ただし、庶民の生活実感とはギャップがあるとも見られています。というのも、賃金が上がったとはいえ、物価の伸びに追い付かず、実質賃金はマイナスでした。金利の上昇で住宅ローンなどの金利負担も増加しました。
このギャップこそが来年に向けて日本経済の課題です。
25年は日本の株価が大きく上がりました。世界と比較しても、特に大きく上がった部類に入ります。背景要因は高市政権への期待に加えて、企業収益がトランプ関税など大きな逆風があったにもかかわらず、底堅く推移したからです。言い換えるなら、企業は大きな逆風に備えて、コストを転嫁して値上げを進めつつ、支出を抑える守りの姿勢を強めました。そこで来年こそ、という期待も込めて、来年の春闘に向けて賃上げ交渉が始まっています。
確かにマクロ経済統計を見ると、企業活動から生まれる付加価値のうち、労働者の取り分は低下傾向を続けています。来年の春闘で賃上げに期待が持てる客観的な条件はあるのです。国際通貨基金(IMF)など国際機関は26年の日本の実質経済成長率を0.6~0.9%前後と見込んでいます。物価は少し落ちついて2%台前半にまで低下する見通しです。こうなると、物価を加味した賃上げ率である実質賃金がプラス転換する希望が持てます。株価も順調な上げ相場の予想が多いようです。
来年は丙午(ひのえうま)です。勢いのある飛躍の年回りとされています。一方、相場格言は「午尻下がり」です。何事においても勢い余って尻下がりにならないよう注意するのが肝要なのかもしれませんね。
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