先が読めない状況で株価が乱高下した中、ようやく高市政権が誕生しました。新政権への期待感が芽生えたことから、株式市場ではいわゆる「高市銘柄」や「維新銘柄」が上昇、世間からの期待が大きいことがうかがえます。今回は、高市政権の経済政策と、高市政権下で持続的に株価が上昇する条件について解説していきましょう。

 

「アベノミクス」を継承する高市政権、持続的な株価上昇には「3本の矢の完成」が不可欠

女性初の高市早苗内閣総理大臣が誕生しました。選挙で大敗が続いた石破前政権が末期症状を示す中、自民党総裁選では、劣勢と見られた事前予想を覆すサプライズな勝利でした。首班指名選挙でも公明党が連立政権から抜けた穴を日本維新の会などの協力を得て埋める薄氷を踏むような勝利で、政権発足と相成りました。

株式市場の反応は高市政権の経済政策に対する期待の大きさを反映していると思います。高市政権の経済政策は安倍第二次政権の経済政策であるアベノミクスの継承です。それは、金融緩和、財政政策、投資中心の成長戦略の3本の矢から成ります。3本の矢は、戦国武将の毛利元就が毛利家の将来を3人の息子に託したとされる教訓に由来しているとされています。

まず財政政策について、高市総理はガソリンに加えて軽油の暫定税率の廃止、年収の壁の引上げ、さらには給付付き税額控除も検討する方針を打ち出しました。次に金融政策ですが、高市総理は日銀による性急な金融引き締め路線をけん制しています。最後に成長戦略ですが、高市総理は産業政策に関する著書が多く、この分野には造詣が深く持論があるとみられています。特に能動的サイバーセキュリティー、宇宙開発、コージェネレーション(コジェネ)発電、核融合、スパイ防止などの分野で期待感が高まっています。

こうした期待から株式市場ではいわゆる高市銘柄が大きく上昇しました。さらに維新の本拠地である大阪中心のいわゆる維新銘柄も追随しました。背景は維新が主張する大阪副首都構造や万博跡地の利用構想への期待感があります。副首都構想の具体化はこれからですが、スケールの大きな再開発になるとの期待もあります。

第二次安倍政権のアベノミクスは金融緩和と財政政策が景気を力強く持ち上げたものの、成長戦略は実効性に欠けたと評価されています。故安倍総理の後継を自認する高市政権が投資中心の成長戦略を推し進めれば、アベノミクスの3本の矢は完成に向かいます。成長戦略の結果として産業が活性化することが持続的に株価が上昇する条件になると思います。

 

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