今年に入って大きく値上がりしていたガソリン価格が、最近少し低下してきました。これは朗報と言えるでしょう。ガソリン価格は、ドル建て原油価格、円相場、政府の補助金などが変動することによって上がったり下がったりするものですが、その背景を知ることは勉強になるし、節約にもつながります。今後のガソリン価格がどうなっていくか、考えてみましょう。

 

今後下落が見込まれる「ガソリン価格」、その背景とは?

今年に入ってガソリン価格は大きく値上がりました。主因は政府のガソリン購入向け補助金が減少したことです。これも含め、ガソリン価格は昨年後半は1リットル当たり約165円でしたが、今年に入って10円上がって約175円となりました。しかし、今月の連休明け以降はピーク感が出て2~3円と少しですが値下がりし始めました。

ガソリン価格は国民生活に大きな影響を与えます。特に公共交通が充実していない地域では、一家に自家用車が2~3台あることも多く、ガソリン代は移動のための大きな負担になるからです。今年に入りガソリン価格の値上がりは家計の大きな負担になっていましたが、やっと下がる見通しが立ち始めました。

原油価格は日本経済に大きな影響を与えます。価格が変動すると、日本全体で原油の輸入代金が兆円単位で動くからです。もし原油価格が下がって円高になれば、日本から海外の産油国に支払う輸入代金が減少します。このメリットがガソリン価格の値下がりという形になるのです。

具体的に見てみましょう。今年1月時点ではドバイ原油は1バレル約75ドル、1ドルは約155円でした。これが直近では、ドバイ原油は1バレル約60ドル、1ドルは約147円です。円建ての原油の輸入価格が約25%も下がったのです。ただし、輸入した原油が精製されてガソリンスタンドに届くまでには数カ月のタイムラグがあります。

さらに政府はガソリン代補助を早ければ5月中にも最大で1リットル当たり10円増加する方針を示しています。将来の予測は難しいものです。しかし、控えめに見ても今後のガソリン価格は下がると見込まれます。

昨今は金融経済教育や金融リテラシーの重要性が高まっています。ガソリン価格は国際政治の影響を受ける原油価格、世界経済の影響を受ける円相場、そして選挙対策を含む国内政治要因と幅広く影響を受けます。広く学びつつ節約するには、絶好の生きた教材だと思います。

 

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