イラン情勢の変化と株価には、どのような関係があるのでしょうか。一言で言えば、戦闘激化は株価下落、停戦は株価上昇です。情勢変化が激しい状況ですが、今は停戦の方向に動いています。今から振り返れば、悲観論が高まった3月下旬が転機でした。
戦闘激化が懸念される中で、なぜ金融市場は停戦を織り込んだ?短期解決へ向かった3つの理由
2月28日の米国とイスラエルの軍事作戦によるイランのハメネイ最高指導者の殺害以降、激しい戦闘が始まりました。イランはホルムズ海峡を事実上封鎖することで、世界への石油や天然ガスの供給を制約する暴挙に出ました。結果的に石油価格は大きく上昇しました。この結果、インフレの再来と金利の上昇により、世界中で景気と企業業績が急激に悪化する可能性が高まりました。この状態が長く続けば株価暴落が起こりかねないとも懸念されました。
しかし、3月下旬に入り停戦の機運が高まりました。今から振り返れば、ここが株価の動きの転機でした。米国の長期金利は3月27日に天井をつけ、株価は米国で同じ3月27日、日本で3月31日にそれぞれ底をつけました。金融市場は先々の状況を価格に織り込みます。多くのメディアでまだまだ戦闘が激化すると懸念していた最中に金融市場は停戦による問題の解決を織り込み始めたのです。
金融市場での織り込みとはいえ、これほど短期間で問題が解決に向けて動き始めた背景も重要です。第一に原油価格は確かに上がりましたが、他の商品市況は落ち着いています。小麦など穀物、ニッケルなどの素材系金属、天然ガスなど他のエネルギーの価格などです。原油価格が上がっても、直ちにインフレが広がる懸念は大きくありませんでした。第二に武器弾薬の在庫です。米国とイスラエル、イランの双方が武器弾薬の在庫の払底から戦闘激化より停戦を志向するインセンティブがありました。第三に今後の重要イベントのタイミングです。6月に入ると北米3カ国共催のサッカーワールドカップが始まり、イランも参加が見込まれています。7月4日には米国の建国250周年の大きな記念式典が準備されています。
今回の戦闘は昨年6月の米国とイスラエルによるイランでの軍事作戦である12日間戦争の再開と位置付けられます。その意味では、一度は停戦に向かって交渉が始まったとはいえ、いつまた再開するか分からない危うい状況は続くとみるべきだと思います。
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