――1924年に初のミューチュアルファンドが誕生した米国は、100年超の「投資信託」の歴史を有しています。新NISAのスタート以降、貯蓄から投資へのこれまでにない大きな変化に直面している日本の投資家が米国から学ぶべき点は何でしょうか。
米国の資産運用業界には長い歴史がありますが、それでもまだまだ米国も他の国に学ばなければならない点がたくさんあります。長期のタイムホライズンで投資する投資家である以上、大事なのは長期的視点を持つことです。
―――新NISAのスタート以降、全世界株式や米国株式のインデックスファンドがブームになっています。いわゆる「プレーンバニラ」の株式インデックス以外の資産・運用手法に分散を図る意義についてどのような意見をお持ちですか。
全世界株式にしてもS&P500にしても、今ほど分散されていない時期は無かったと思います。特定の銘柄への集中度が高まった結果、現在まで(※2025年7月10日取材)は高いパフォーマンスを実現してきました。
ただ、このようにあまりにも集中度が高まったインデックスに投資し続けることは、いかがなものでしょうか。過去半世紀あまりを振り返ると、同じように集中度が高まった時期が2回ありました。1970年代前半の「ニフティ・フィフティ相場」(ハイテク株など一部の成長企業“50銘柄”が市場を牽引した相場)と、2000年の「ITバブル」です。この2回とも特定の少数銘柄への買いが集中し、その後は株価が暴落しています。長期的に値上がりしてきたものに今から投資するのは危険であり、その意味でもさまざまな資産クラスに分散投資することの重要性が高まっています。