世の中に存在する限られた“特別な投資機会”とは
「世の中には、一般の人には投資できない“特別な投資機会”というものが存在し、一部の限られた投資家だけが巨額のリターンを得ている」。そんな話を耳にしたことはないだろうか?
実は、その答えは「Yes」だ。
特に米国のベンチャーキャピタル(VC)市場では、ユニコーン(評価額10億ドル超の未上場企業)をいち早く見いだし、初期段階から投資することで、桁違いのリターンを手にする投資家が存在している。
VCとは、急成長が期待されるスタートアップ企業の未公開株に出資し、企業の成長に伴う株価上昇によってリターンを得る投資会社のことだ。主に初期段階の企業に対して資金提供や経営上のアドバイスを行い、上場やM&Aなどの出口戦略で利益を確定させる。
エアビーアンドビーに投資したトップVCは破格のリターンを手に
例えば、民泊サービスのオンラインプラットフォームを運営するエアビーアンドビー(Airbnb)はいまや米国を代表する企業の1つとなっている。同社がまだ無名のスタートアップだったころ、シード(種)段階から投資していたのはセコイア・キャピタルやアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)といったトップVCだった。
エアビーアンドビーはその後、米ナスダック(NASDAQ)市場に株式を上場し世界的企業へと成長した。単体のリターンで見ると、シード段階で投資していた場合は約3400倍、シリーズA(シード期を経て本格的な事業拡大を目指す時期)で投資していた場合でも数百倍規模のリターンが得られたということだ。実際に同社に投資していたセコイア・キャピタルのファンドは、ファンド全体として10倍以上のリターンを上げたとされている。
こうした成功例は一握りだが、トップVCは数多くの有望企業に出資しており、過去のファンド実績を見ても、全米VC全体の平均リターンを大きく上回るケースが多い。
一般的なVCの平均リターンは投資元本に対して2~3倍程度とされる一方で、トップVCの中には10倍以上のリターンを記録しているファンドが存在する(※この場合、投資元本が何倍になったかを示す「MOIC:Multiple on Invested Capital」という指標で表される)。