高市内閣誕生でますます見かけるようになった「積極財政派vs財政規律派」の議論

積極財政と財政規律では、どちらが正しいのでしょうか。

「財政」という言葉は聞いたことがあっても、それがどういう活動で、世の中にどのような影響をもたらしているのかを知っている人は、案外少ないのではないでしょうか。

簡単に言えば、国や地方自治体が、私たちの生活を支えるために提供するサービスを実行するのに必要な、資金集めとその管理、そして支出という一連のお金の流れを指しています。

たとえば、私たちが納めている税金は、財政における収入部分に該当します。

税金にはいろいろなものがあり、なかなか覚えにくいものではありますが、大きく3つに分かれていて、それぞれについて国に納める「国税」と、自分が属している地方自治体に納める「地方税」とに分かれます。具体的に見ていきましょう。

【所得や収入にかかる税金】

所得税(国税)、住民税(地方税)

【消費や取引にかかる税金】

消費税(国税・地方税)、酒税(国税)、たばこ税(国税・地方税)、印紙税(国税)、国際観光旅客税(国税)

【保有している資産・財産にかかる税金】

固定資産税(地方税)、都市計画税(地方税)、自動車税(地方税)、自動車重量税(国税)、相続税(国税)、贈与税(国税)

などになります。

国や地方自治体は、こうした税金によって収入を得ているわけですが、支出の額によっては、税収を超えて支出が生じることもあります。その場合は国債や地方債という債券を発行して、不足分を借金で補う形になります。

この税収と借金のアンバランスが、積極財政派と財政規律派との間で繰り広げられている、喧々囂々たる議論の原因となっています。

本稿では国の財政に限定して話を進めていきます。

現在、まさに2026年度の一般会計予算の中身が、関係省庁の間で吟味されているところですが、2025年度(2025年4月~2026年3月)の一般会計予算によると、歳出の総額は115兆5415億円でした。当然、これだけの歳出を賄うためには、それに相応する歳入が必要になります。なかでも国が気にしているのは、税収がいくらになるのか、ということです。何しろ税収は国民から国が徴収するお金であり、国として国民に対する返済義務は一切ありません。

2025年度の一般会計予算における歳入のうち、税収がいくらになるのかというと、所得税が23兆2870億円、法人税が19兆2450億円、消費税が24兆9080億円、その他が11兆円です。その他には相続税や酒税、たばこ税、印紙税などが含まれています。

そして税収の合計額は78兆4400億円です。つまり、今の日本の歳出を賄うためには、税収だけでは不足しているのです。

ちなみに私が社会人になった1989年度の一般会計予算は、総額で56兆6997億円でしたから、この36年で日本の国家予算は2倍超に膨らんだことになります。