国債を出し続けると、最終的には株価に影響を及ぼす場合も
では、実際に国債など公債の発行残高が増加し続けたら、どういう状況が想定されるでしょうか。
「日本はあれだけの国債を発行して借金しているが、本当に返せるのか?」という点に疑問が生じると、日本国債の格付が下がります。現在の日本国債の格付は、S&Pで「A+」、ムーディーズで「A1」となっています。これは格付のランキングにおいて比較的高い信用力を得ていますが、もともとは「AAA」だったのが「A」ですから、ずいぶんと下がってきたとも考えられます。
格付が下がると、新しい国債を発行する際には、リスクプレミアムを金利に上乗せする形になりますから、高めの金利を付与しなければなりません。また、債券は事業法人なども発行していますが、日本の企業が債券を発行する際には、原則として国債よりも低い金利をつけるわけにはいかないため、最終的には社債の金利も上昇します。これは企業経営にとっては資金調達コストが上がるのと同義なので、業績面に影響を及ぼします。当然、株価に影響を及ぼすことも想定しておかなければなりません。
また、国の信用力そのものにも影響を及ぼしますから、円が売られるリスクも生じてきます。結果、円安となり、輸入物価が上昇すれば、それだけ国内にはインフレ圧力が強まってきます。
このようなデメリットが将来、生じるリスクを考えると、財政規律は重要だということになり、増税や歳出削減の必要性を説く声を高めていきます。
しかし、財政規律を強めれば強めるほど、デフレの長期化や、企業業績や個人消費の低迷、株価の下落につながる側面も併せ持っています。だからこそ、財政規律派が存在する一方で、積極財政を唱える意見が存在するのです。
