税収で足りない分を賄うために「国債」はある
問題は、税収で不足する歳出部分を、どのようにして賄うかということですが、ここで登場するのが国債、国が発行する債券です。債券は一種の借用証書であり、それを発行することによって広く、大勢の投資家から資金を集めています。
では、実際にいくらくらいの国債が発行されているのでしょうか。
過去の推移を見ると、バブル経済だった1989年度が6.6兆円でした。当時は好景気で税収が多く、国債をたくさん発行せずとも、歳出を賄うことができたためです。
ところが、バブルの崩壊によってさまざまな景気対策を打つ必要性が生じてきました。結果、国債の発行額が急増して、2009年度には53兆円もの国債が発行されたのです。
この国債発行額の残高が年々累積していることが懸念されており、財政規律を求める声が高まってきました。
財政規律派の主張とは…
財政規律派は、無制限な国債発行は、いずれ増税や歳出削減につながり、将来世代に負担をかける、財政破綻のリスクが高まる、という論調です。確かに、過去から発行されている国債など公債の累増具合を見ると、「とんでもないことになっている」という印象を受けると思います。
今から約60年前、1965年度の公債発行残高は0でした。日本は無借金経営を実現していたのです。
ところが、60年の歳月を経て日本が抱えている公債残高は、2025年度で1129兆円にも達しています。「このまま借金が増え続けたら、いつか日本は財政破綻に陥る」というのが、財政規律派の言い分です。
