米国株式に代わる新たな投資先
――投資資金をシフトさせるとしたら、どんな資産・地域が有望ですか。
世界を見渡せば、常に価値がある投資先は見つけられます。米国の成長率はやや低下しているものの、総悲観ではありません。堅牢なビジネスモデルを持ち、強固なサプライチェーンを構築し、インフレ下においても価値を保持できる企業は存在しており、それは有望な投資先になります。
環境変化によって、現在のクオリティカンパニーがその座から降ろされるケースがあるように、逆の現象もまた起こり得ます。つまりアンダーバリュー銘柄が買われるということです。国別で見れば、米国に対して欧州や日本はアンダーバリューであり、投資妙味が高まっていると言えるでしょう。
日本はコーポレートガバナンスが良くなっていますし、何よりもインフレが常態化してデフレ経済から脱却できました。また、欧州では防衛費増額により防衛関連産業への投資が活発化しそうです。これらの理由から、米国以外の国・地域の投資妙味が高いといえるでしょう。
――一方で、債券投資の魅力はどこにあるのでしょうか。
債券マーケットは国・地域に関わらず総じてクレジットスプレッドが縮小しています。これは投資上のリスクにつながりますが、この状況がいつまでも続くとは思っていません。過去数年、債券市場にはほとんどクレジットサイクルがありませんでしたが、今後はそれが生じて、クレジットスプレッドが拡大するでしょう。
ただ、それは一様に起こるのではなく、銘柄ごとに個別の動きをすると思われ、そこに投資機会があると考えています。
基本的に、債券市場においてはサブアセットクラスが多く、それらを個別に評価するのは極めて困難です。それだけに、債券運用はそれを専門に行っているプロに任せることが、リターンの改善につながると思います。
今はかなりクレジットスプレッドが縮小したマーケットですが、数年前にも同じような環境がありました。その時は全体ではデュレーションを中立にしたうえで、欧州ロング、米国ショートのポジションを取ることによって成果が得られました。
このポジションは今後スプレッドが変わっていくことを投資機会として捉えたものでしたが、同様にスプレッドがタイトになっている現在にも通用するのではないかと考えています。