大型の新規設定で話題の「野村日本バリュー厳選投資」

久々に大型の新規設定となった野村アセットマネジメントが設定・運用する「野村日本バリュー厳選投資」の当初設定額は989億円に達しました。QUICKの調べによると、2025年に設定された国内公募投資信託の当初設定額では、2番目の大きさになるということです。

ちなみに販売会社は野村證券1社ということで、野村證券の販売力の強さを、まざまざと見せつけられた感があります。

なお、今年に入って、同ファンドを上回る当初設定額だったのは、やはり野村アセットマネジメントが設定・運用する「(早期償還条項付)野村ハイベータ日本株2506」で、その額は1523億円。同ファンドは単位型なので、運用開始後の追加購入は原則として認められません。また、1万口あたり基準価額が1万2500円に達した時点で安定運用に切り替え、繰上償還するという仕組みですが、実は今年6月に設定された後、10月9日時点で基準価額が1万2745円になったため、先般、繰上償還が確定しました。同ファンドの信託終了日は12月5日で、償還金が支払われます。

「(早期償還条項付)野村ハイベータ日本株2506」はいささか特殊な仕組みを持つファンドですが、「野村日本バリュー厳選投資」は設定後も自由に追加購入できる追加型で、その運用は王道のアクティブです。

かねがね申し上げていることですが、アクティブファンドを選ぶ時には、過去3~5年、できれば10年くらいの運用実績が欲しいところです。

ただ、これにはある種のジレンマがあります。すべての投資家が「過去の運用実績を持たないアクティブファンドを買わない」ことを厳密に実践すると、アクティブファンドは新規設定が出来なくなります。

これはどの新規設定ファンドにも共通して言えることですが、投資信託を新規設定する時は、設定する前に数日間の募集期間を設け、その間に運用資金を集めて設定、運用開始となります。

ところが、過去の運用実績を見たうえで、そのファンドを買うか、買わないかを判断するとなると、設定時点で過去の運用実績を持たない新規設定のアクティブファンドは買えないことになり、運用をスタートさせるうえで必要な資金が集まらない、ということになってしまいます。

では、このジレンマを解決する方法はないのでしょうか。

運用実績をつくる手段として、“パイロットファンド”というものがある

一番良いのは、パイロットファンドを立てることです。パイロットファンドとは、運用会社が自己資金でファンドを立ち上げ、個人からはお金を集めずに一定期間運用し、ある程度、良い運用実績を出せる自信がついたら、個人向けにそのファンドをリリースするというものです。この方法なら、個人向けにリリースする時点で、一定期間の運用実績をつくることができるため、新規設定であったとしても、過去の運用実績を見たうえで、購入の是非を判断できるようになるのです。