日経平均が最高値の更新を続け、日本の株式市場は大きな盛り上がりを見せています。
ただ、もちろんすべての企業が好調なわけではなく、株価を落としている企業も当然存在します。
どうすれば、良い銘柄を選ぶことができるのでしょうか。プロも行う基本的な企業分析の方法を、投資顧問会社の代表で人気YouTuberの栫井駿介氏が解説します。(全4回の2回)
※本稿は、栫井駿介著『1社15分で本質をつかむ プロの企業分析』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を抜粋・再編集したものです。
SWOT分析で整理する
3Cの観点での分析をひと通り行ったら、次に行うのが「SWOT分析」です。これは聞いたことがある人も多いのではないかと思います。SWOT分析とは、その企業が置かれているStrength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(驚異)を抽出し、その企業の特徴を浮き彫りにするものです。
この中で、StrengthとWeaknessは内部環境、OpprotunityとThreatは外部環境です。内部環境は自社分析と競合分析、外部環境は顧客分析と競合分析をそれぞれ合わせたものと見ることもできます。要するに、3Cで分析したものを整理しただけにすぎず、新しい分析を行うわけではありません。それなら必要ないのでは? と思われるかもしれませんが、分析したことを整理し直すことでより論点が明確になります。
何より有効だと私が考えるのが、その企業にとってのプラス面とマイナス面の両方を記載できることです。分析を行っていると、分析者自身の癖によりプラスあるいはマイナスのどちらかに偏ってしまうことがあります。もちろん最終的には偏りを完全に避けることは難しいのですが、少なくとも早い段階で先入観にとらわれて、よい企業を見逃してしまうのはもったいないことです。
何より、強みは裏返すとそのまま弱みに、弱みは逆に強みになります。SWOT分析を繰り返していると、物事には両面性があることを嫌でも思い知らされます。やがて、意識しないでも「その裏は?」と考えることができるようになり、分析の精緻化へのスピードが速まっていくのです。
