任天堂の場合

最近私が分析した企業の中で具体例を挙げるとするならば、任天堂のケースがあります。任天堂は、ご存知の通りSwitchというゲームやマリオ、どうぶつの森、スプラトゥーンといった様々なキャラクターを有することが強みです。一方で、ゲームが売れるかどうかはギャンブルのようなところがあり、時には赤字になってしまうなど不安定なところが弱みでした。

そこで任天堂が最近行っているのが「IP(知的財産)戦略」です。任天堂が持つキャラクターをゲームだけではなく様々な場所で露出することで、任天堂のゲームに対する認知・愛着を引き上げていこうとするようになりました。直近では、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに「スーパーマリオワールド」というアトラクションを設けるなどの事例があります。

もしこれで、ゲームが売れるかどうか分からないという「ギャンブル性」から抜け出し、任天堂のゲームを買う人口が累積的に増えるような状況になれば、任天堂はこれまで以上にますます成長できる可能性があると考えます。株価も大きく伸びることが期待できるでしょう。

このように、「強み」「弱み」を浮き彫りにしてそれぞれに対する企業の姿勢を見ることで、今後企業が進むべき方向性が明確になることがあります。ここで分析した「強み」や「弱み」は現在、あるいは過去のものにすぎません。それを企業が強化・克服できるとしたら、未来に向けてその企業は良くなっていくと言えるはずです。その意味で、SWOT分析もやはり未来志向のものなのです。

もっと言えば、一見すると弱みと考えられる部分すら愛することができれば、あなたは本当の意味でその企業を「推し」として捉えることができるでしょう。

図2 【SWOT分析】

 

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著者名 栫井駿介
発行元 クロスメディア・パブリッシング
価格 1848円(税込)