なぜ人材派遣会社で退職代行の利用が多いのか

たとえ派遣元の会社がどれだけ良くても、現場の状況によって働きやすさは左右されます。また、実際に退職を伝えたとしても、派遣元の営業担当が自身の評価やノルマを気にして、なかなか退職を認めないケースも少なくありません。

「自分で言っても無理だと思ったので、代行を使いました」という声も、多くの利用者から寄せられています。

有休が取りにくい経験から退職代行を使おうとする人もいました。川口さんも「有休を申請したいけれど、誰に言えばいいのかわからなかった」と話します。彼女が派遣されていた現場では「有休取得率を上げよう」という目標は掲げられていましたが、川口さんは別の会社から来ていたため対象外。ほかの派遣社員が「有休はいつにしますか?」と順番に声をかけられるなか、川口さんにだけその言葉はかけられませんでした。

人材派遣という働き方は、柔軟な働き方ができる魅力的な制度です。

しかし、退職代行の利用状況からは、派遣先と自分の会社の間で板挟みになる姿が見えてきます。派遣という制度がよりよく機能するためにも、こうした問題点が少しずつでも改善されていくことが望まれます。