加入者には「知る権利」、除外に対し同意・不同意を「示す権利」がある

楽天証券のiDeCoを通じて、セゾン資産形成の達人ファンドを買い付けていて、今回の除外措置に納得いかないという人は、楽天証券の担当部署に理由を直接たずねてみると良いでしょう。

その際の質問ポイントは以下の3点になります。

①パフォーマンスの測定期間はどの程度なのか
②同分類ファンドとは具体的に何を指しているのか
③除外に際して、どの程度、セゾン投信とコミュニケーションを取ったのか

まず①についてですが、iDeCoは20年、30年という極めて長期の資産形成を行うためのツールです。したがって、仮に5年、7年程度のパフォーマンス測定で「運用成績が悪い」と判断したのだとしたら、それはおかしな話です。資産形成に取り組む加入者の意欲を損なうような行為とも言えるでしょう。

次に②ですが、楽天証券のサイトを見ると、国内外株式の分類に属するのはセゾン資産形成の達人ファンド以外に、キャピタル世界株式ファンド(DC年金つみたて専用)があるだけですから、おそらく同分類の比較対象はこのファンドと考えられます。楽天証券のファンドスコアで見ると、確かにセゾン資産形成の達人ファンドのスコアが、やや劣後しています。

ただ、厳密に言えば、両ファンドを同分類ファンドとして比較対象にするのが正しいかどうかには、いささか疑念があります。月次レポートで両ファンドの地域別構成比を見ると、以下のようになります。

<セゾン資産形成の達人ファンド>

北米・・・・・・42.0%
欧州・・・・・・25.1%
新興国・・・・・・18.2%
日本・・・・・・12.6%
日本を除く太平洋・・・・・・2.0%

<キャピタル世界株式ファンド(DC年金つみたて専用)>

北米・・・・・・59%
欧州・・・・・・30%
新興国・・・・・・6%
日本・・・・・・4%
日本を除くアジア・太平洋・・・・・・1%

ポートフォリオの構成地域はほぼ同じでも、投資比率はかなり異なります。この影響を加味せず、もし同一分類としてパフォーマンスを比較しているとしたら、いささか乱暴であるという印象を拭えません。

そして③ですが、正直、セゾン資産形成の達人ファンドを除外すれば、少なくとも約1万人の加入者に影響が及びます。もちろん、そのまま運用を続けることはできるものの、除外になれば継続積立の道は断たれてしまいます。継続的に積立で資産形成をしようと考えていた人たちは、他のファンドでの積立を強いられます。

それだけ大きな影響がある判断ですから、相当程度、セゾン投信との間でコミュニケーションを取り、お互いの納得のうちに除外にならなければ、おかしな話です。

正直、セゾン投信だけでなく、他の除外ファンドについても、楽天証券の確定拠出年金担当者と、各運用会社との間で、除外決定についてどのようなやりとりが行われたのかを、加入者は知る権利があります。

繰り返しになりますが、楽天証券のiDeCoを通じて、セゾン資産形成の達人ファンドを買い付けていて、今回の除外措置に納得いかないという人は、上記3点についてぜひとも楽天証券に連絡して、直接質問してみて下さい。

そして、加入者には同意・不同意を唱える権利があります。

正式に除外が決定されるのは7月15日ですが、除外に同意できない人は、6月30日までに、楽天証券から郵送されてくる「運用商品除外にかかわる同意確認のご案内」に、不同意の回答を明記して郵送するか、もしくはウェブで回答できます。

注意しなければならないのは、何もアクションを起こさないと、「除外に同意」とみなされて、除外されてしまう恐れがあることです。この同意書で決を採り、不同意が3分の1超あれば、除外されなくなります。