アワードも受賞し、純資産総額もあるファンドも「除外対象」に

さて、この除外ファンドをめぐって、さざ波が立ち始めております。特にその渦中にあるのは、セゾン投信が設定・運用している「セゾン資産形成の達人ファンド」です。

同ファンドは、「R&Iファンド大賞」を12年連続、「LSEGリッパーファンドアワード」を11年連続で受賞し、相応に“優れもの”といえる投資信託です。5月21日時点の純資産総額は3596億3500万円と規模も大きく、2007年3月15日の設定来、トータルリターンは303.27%、年率で8.01%の平均リターンを実現しています。直近1年のリターンは▲5.34%とマイナスリターンになっていますが、設定来の基準価額の推移を見ると、大半の期間で、参考指数であるMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み・円換算)をオーバー・パフォームしています。

しかし、楽天証券は同ファンドを、iDeCoの対象ファンドから除外する決定を下しました。

この決定に対してセゾン投信側は、5月16日付で「重要なお知らせ」として、楽天証券のiDeCoで同ファンドを購入している人に向け、除外に関する見解を示しています。それによると、「決定した経緯等の詳細の説明を求めてまいりました。しかしながら、当社として納得のいく説明はいただけませんでした」とあります。

では、楽天証券は今回の除外について、どのような説明をしているのでしょうか。

楽天証券の「確定拠出年金」サイトのお知らせ欄に、5月15日付で「加入者、運用指図者の方へ運用商品除外にかかわるご案内」とあります。ここには除外対象となっている9本のファンド名、ならびに除外理由が明記されています。

大半のファンドは除外理由が同じです。それは「ファンドの残高・拠出金額および受益者数が弊社基準を下回ったため、また除外ファンド選定時のパフォーマンスが基準を下回ったため」というものが多く、9本中7本がこの理由によるものです。

それ以外だと、明治安田DC日本債券オープンが「ファンドの残高・拠出金額および受益者数が弊社基準を下回ったため、また同分類で低コストインデックスが存在するため」であり、もうひとつがセゾン資産形成の達人ファンドに関する「同分類で除外ファンド選定時のパフォーマンスが基準を下回ったため」というものです。

セゾン資産形成の達人ファンドは、前述したように純資産総額が3596億円もあり、残高が少ないとは言えません。また楽天証券のiDeCoを通じての拠出金額は数百億、保有者は数万人ですから、「弊社基準」が明示されていないので何とも言えませんが、少ない方ではないでしょう。

つまりセゾン資産形成の達人ファンドが除外された理由は、結局のところ運用成績になるのですが、正直、「同分類で除外ファンド選定時のパフォーマンスが基準を下回ったため」という除外理由だけでは、多くの加入者も納得がいかないと思います。