前回はiDeCo(個人型確定拠出年金、イデコ)のメリットについてお伝えした。
税制優遇などメリットが多くあるようにみえるiDeCoだが、デメリットはあるのだろうか。
あえて言えばという形になるが、2つほど挙げてみよう。
●前回『「節税できる」と聞くけれど…?結局、iDeCo(個人型確定拠出年金)ってどんなメリットがある?』
原則60歳までは資産を引き出せない
例えば通常の証券口座で資産運用を行っている場合、資産を売却して現金にすればお金を引き出せる。預金ならば売却というステップすら踏まずにいつでも好きなときに引き出せるだろう。
しかし、iDeCoは「老後資金を形成するための支援制度」として導入されているので、原則60歳まではお金を受け取れない。制度の趣旨からすれば当然と言えなくもないが、運用益が出たから好きな時に売却し、引き出して使ってしまおうというわけにはいかないのだ。
これはデメリットではあるものの、見方を変えれば非常に理に適った仕組みとも言える。なかなかお金が貯められない人の場合、口座に給料が振り込まれたらすぐに引き出して使ってしまうことが多いのではないだろうか。引き出しやすいことが逆に資産形成のネックにもなり得るのだ。つまり「お金を引き出せない」というのは、「着実に老後資金を準備する」ことにつながるメリットでもあると言えるのだ。
お金に余裕がない人にとっては、いざというときに引き出せないことは気になるかもしれない。しかし、月額5000円からと少額の資金で始められるのがiDeCoのメリット。まずは自身の収入や生活費を踏まえて、いざというときの預金は別途確保しつつ、老後のためにiDeCoで積み立てる金額を決めることから始めるのも一案ではないだろうか。