「しょっぼ」連発、新人SEの横柄すぎる態度
新入社員の内訳は、営業が男性1人と女性1人、そしてSEが男性1人でした。全員が大卒の22歳です。SEの男性は私の母校の後輩で、卒業後に新設された総合情報学部の出身でした。それもあって最初は親しみを感じていたのですが、これがとんだ食わせ者でした。
他の2人がおとなしい優等生タイプだったこともあり、最初から彼の礼儀をわきまえない振る舞いは悪目立ちしていました。経営幹部が講話をした際も、自分が所属するシステム部門の役員の話は熱心に聞いて質問までしていたのに、社長や他の役員の時にはずっとスマートフォンを見ていました。
私は福利厚生やDC(企業型確定拠出年金)の担当で3人の前で説明する機会があったのですが、周囲に上役がいなかったせいか彼の態度は最悪。福利厚生の話では「しょっぼ」を連発し、「エンタメのチケットとか、軽井沢の豪華別荘とかないんすか?」と聞いてきたので、「リクエストがあったら人事部に出してください」と返したら、すごい目つきで睨まれました。
提出書類の話をするとまさかの舌打ち
DCについてはひと通り説明した後、運用商品を選んで書類を提出するよう頼んでいました。他の2人は翌日に提出してくれましたが彼だけは期限になっても何も言ってこなかったので、研修終了後に捕まえて書類を書いてもらおうとしました。
その時の彼は、「研修早々残業ですか?」と最初からけんか腰でした。虫の居所が悪かったのだと思います。
研修時に話したことを忘れてしまっているかもしれないと思い、DCの運用ラインアップについてひと通り説明した後に運用商品を決めてほしいと言うと、「ちっ」と会議室中に響くほど大きな舌打ちをし、「オレ、運用にはアンタよりずっと詳しいから。そもそも、運用商品しょぼ過ぎ。オルカンもS&P500もねぇし。こんなの選べねぇよ」と言い捨てて出ていってしまったのです。
私はただ茫然と見送るだけでした。10年間人事部にいて新人研修も何度か経験していますが、これほどひどい対応をされたのは初めてでした。
とはいえ、帰ってしまったものは仕方ありませんから、直属の上司である課長に経緯を説明し、「私の力不足ですみません。明日書いてもらうようにします」と頭を下げました。課長は「彼はいろいろ問題あるみたいだね。面倒かけるけど、よろしくね」と励ましてくれました。
いわゆる退職代行サービスの会社から人事部宛てに連絡が入ったのは、まさにその翌日のことでした。彼の退職の要請でした。人事部長が慌ててシステム部長のところに連絡に行き、社長を交えて話し合いをして彼の退職の手続きを進めることを決めたようでした。
新人研修に関わった人たちには彼の退職についての説明がありました。聞いたところでは、前日にOJTの計画について説明し、営業・バックオフィス・システムの3部門を2週間ずつ回るという話をしたら、「OJTなんて意味がないから早くシステム開発の仕事をさせろ」と強硬に主張し一歩も譲らなかったようです。私に対する横暴極まりない態度も、その直後だったからかと得心しました。
ところが、話はそれだけでは終わりませんでした。